研究実績の概要 |
1.病理病態解析について当初予定通りに進行中であり、現在解析を進めている。 2.ELOVL4遺伝子の変異によるSCA34について遺伝学的な精査を進めた。 ELOVL4遺伝子のさらなる変異スペクトラムを探索し、SCA34における変異-表現型の対応の知見を得るために、153人の日本人の未同定(比較的頻度の高いSCA1,2,3/MJD, 6, 31, DRPLAが否定されたコホート)脊髄小脳失調症患者について、ELOVL4遺伝子の変異の有無の解析を行った。 その結果p.T233M変異をヘテロ接合性に有する新たな日本人1家系を同定し、その表現型(神経学的特徴および脳MRIでの特徴・および皮膚所見(紅斑角皮症;Erythrokeratodermia variabilis))を精査した。この変異は最近イギリス系カナダ人1例で報告されていた変異であるが本報告ではこの変異が家系内で疾患と共分離することを確認した。 本報告は、実際の小脳失調症患者のコホートにおけるSCA34の疾患頻度を調べた世界初の報告である。また我々は、過去のSCA34の報告とも合わせて、SCA34の疾患概念として、多系統障害型(認知機能低下・精神症状・眼球運動障害・構音障害・四肢体幹失調・錐体路兆候・錐体外路兆候・末梢神経障害または後索障害・自律神経障害)の神経学的な特徴、脳MRIでの十字サイン陽性、および皮膚症状(紅斑角皮症;Erythrokeratodermia)などを疾患の特徴として提唱した。本成果はOzaki et al., Parkinsonism and Related Disorders, 2019 (published online)として国際的英文査読誌に掲載された。
|