研究課題/領域番号 |
18K15442
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
徳武 孝允 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00707838)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多系統萎縮症 / 脳脊髄液 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
α-シヌクレイン,オリゴデンドログリアの機能障害やオリゴデンドログリア前駆細胞の成熟障害に着目して,多系統萎縮症(MSA)の脳脊髄液バイオマーカーの確立・臨床応用を目指している。また既存の神経変性バイオマーカー(Aβ,タウ)との相関にも着目し、臨床症状などとの関連などについても解析を行っている。 昨年度の検討で、MSA患者において脳脊髄液中α-シヌクレイン、Aβ42・リン酸化タウの低下がみられたので、今年度は、α-シヌクレインなどの脳脊髄液バイオマーカーと臨床症状(運動障害、認知機能障害)・臨床病型別の解析を行った。運動障害や認知機能障害の重症度と脳脊髄液中α-シヌクレイン、Aβ42・リン酸化タウの相関は明らかでなかった。MSAの臨床病型別の検討では、MSAのパーキンソニズム型において、小脳型と比較して有意にα-シヌクレインの低下がみられた。オリゴデンドログリア前駆細胞特異的蛋白であるneuron-glial antigen 2 (NG2)に着目し、MSA患者脳脊髄液中のNG2を測定したところ、対照群と比較してMSA患者において、有意に脳脊髄液中NG2の上昇を認めた。またMSA患者において、脳脊髄液中NG2とAβ42、総タウが正の相関を示しており、NG2と臨床症状などの相関について解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載した予定にほぼ沿った形で研究が進行しているため
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今後の研究の推進方策 |
2020年度での検討で、オリゴデンドログリア前駆細胞の特異的マーカーであるNG2の解析を行った。多系統萎縮症患者で対照群と比較して、有意に脳脊髄液中NG2の上昇を認めた。脳脊髄液中NG2とそのほかのバイオマーカーの相関や、臨床症状に関連がみられるか検証する。α-シヌクレイン、神経変性バイオマーカーに加えて、オリゴデンドログリア前駆細胞の特異的マーカーであるNG2の解析をひき続き行い、その他のオリゴデンドログリアのマーカーの測定系の確立、測定を行い、発症早期から病理変化を反映し,病態進行を鋭敏に反映するバイオマーカーの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
多系統萎縮症の国際学会で発表予定であったが、新型コロナウイルス感染症のため国際学会が延期になったため、学会での発表がなくなったこと。また発注した物品がコロナウイルス感染症の関係で年度内に届かなかったため、次年度使用額が生じました。 今後の使用計画としては、延期された国際学会での発表の出張費や、2019年度に購入できなかった物品の購入に充てる予定です。
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