研究課題/領域番号 |
18K15443
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐治 越爾 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00706418)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 視神経脊髄炎 / エクソソーム / 細胞外小胞 |
研究実績の概要 |
視神経脊髄炎関連疾患 (neuromyelitis optica spectrum disorders; NMOSD) は中枢神経系自己免疫疾患の代表的疾患である. NMOSDでは、アストロサイトに発現するアクアポリン4水チャネルを標的とする自己抗体がアストロサイト障害を誘導し、視神経炎や脊髄炎などの中枢神経症状を引き起こすと想定されている。一方、動物モデルでは血中の自己抗体のみで神経症状を再現することが困難であり,自己抗体以外の何らかの免疫因子の存在が必要と考えられている。近年、細胞外小胞の一つであるエクソソームの細胞間情報伝達ツールとして役割が注目されている。本研究では、1) NMOSDの発症病態にエクソソーム分画成分が関与するのか、2) NMOSDの疾患活動性を反映するエクソソーム内構造物は何であるのかを明らかにすることを目的とする。 本年度は、検体よりエクソソーム回収を行い、microRNAを含むTotal RNAを抽出して、次世代シーケンサーを用いてRNAシーケンスを行う予定であった。検体から十分量のエクソソームを抽出するに至っていないため、代わりに末梢血単核球を用いてRNAシーケンスを行った。バイオアナライザーで抽出したTotal RNAのクオリティー (RNA Integrity Number) が9以上とRNAの品質に問題がないことを確認した。RNAライブラリーを調整し次世代シーケンサーNextSeq500を用いてRNAシーケンスを行った。解析に十分なシーケンスが出来ていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度当初予定していたエクソソームの回収に至っていない。末梢血単核球から抽出したRNAでのRNAシーケンスは解析できることを確認しており、エクソソーム回収手法を確立したうえで、現在収集している患者血清および髄液検体で解析を行う。RNAシーケンスの効率性を考慮し、十分な検体数が集まった段階でまとめて解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
エクソソーム回収について複数の試薬を用いて、安定したエクソソーム回収を確立する。回収したエクソソームよりRNAを抽出し、RNAシーケンスを用いて、NMOSD患者群と健常者群でのトンスクリプト―ム解析を行い、疾患特異的な分子を明らかにする。さらにNMOSD患者群の急性期と寛解期のエクソソームも同様に解析を行い、疾患活動性を反映するバイオマーカーを探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
エクソソーム回収に遅れが生じており、当初予定していたエクソソームのRNAシーケンスを施行できていない。異なる複数の試薬を用いてエクソソーム回収を確立を行い、当初予定していたRNAシーケンス解析を行う。
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