研究実績の概要 |
[1] 各種Aβ凝集体の作成:In vitro凝集系を用いて、合成Aβ1-40、Aβ1-42、E22Q Aβ1-40及びE22Q Aβ1-42ペプチドより各種Aβ凝集体を作成した。 [2] In vitro凝集系におけるAβの凝集過程の観察:Aβ凝集体を超音波破砕して作成したAβ1-40、Aβ1-42 seedsをそれぞれAβ1-40、Aβ1-42 monomer溶液に加え、観察されるAβの凝集過程をチオフラビンT(ThT)によって継時的にモニタリングした。 [3] HS-AFMを用いた単一線維レベルでのAβ凝集過程の観察:世界最速の高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を用いて、合成Aβ1-40、Aβ1-42の凝集過程を単一線維レベルで観察した。合成Aβ1-42については、本研究の研究協力者らの既報告 (Watanabe-Nakayama T, et al. Proc Natl Acad Sci U S A 2016)と同様の合成Aβ1-42の線維構造や凝集過程の観察に成功した。合成Aβ1-40のイメージングにおいては、①Aβ1-40の凝集速度が遅いため、HS-AFMのカンチレバーが長時間のイメージングに耐えられない、②合成Aβ1-40凝集体がマイカに付着しにくく、イメージングができない、という2つの問題点が明らかとなった。①に関しては、HS-AFMのカンチレバーの材質や形状を変更することが難しいため、Aβ1-40の凝集速度を促進するためのサンプル調整(Aβ濃度、溶媒の塩濃度)を複数の条件で実施したが、現時点で安定したイメージングが可能となる観察条件は確立できていない。また、②に関しては、Aβ濃度やインキュベーション時間の調整、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を用いたマイカ表面の電荷の調整を試みたが、安定したAβ1-40凝集体のマイカへの吸着は認めていない。
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