研究課題
抗IgLON5抗体関連疾患は、特異的な睡眠障害、球症状、歩行不安定性、易転倒性、自律神経障害、運動異常症、眼球運動障害、認知機能障害などを呈する緩徐進行性の自己免疫性脳炎である。これらの症状は進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、皮質基底核変性症(CBS)、球麻痺型筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTLD)、ハンチントン舞踏病などの神経変性疾患に類似する。我々は本研究課題において、抗IgLON5抗体を測定するために、IgLON5を特異的に発現させたHEK293細胞を用いて行うCell-based assay (CBA)系を確立した。このアッセイ系を用いて本年度、あらたにCBS患者29名、PSP患者22名、FTLD 患者15名、球麻痺型ALS患者12名、分類不能なパーキンソニズムを呈した患者4名、舞踏運動などの運動異常症患者4名、MSA患者4名、既知の抗体陰性の脳炎・脳症患者3名、睡眠障害患者2名の血清中で抗IgLON5抗体の検出を試みた。結果、これらの患者の血清中で抗IgLON5抗体は検出されなかった。これまでの研究では、約4年の経過で緩徐に進行する歩行障害をきたし、神経学的には、構成失行、上肢に軽度の筋強剛と下肢の左優位の痙縮とジストニア、皮質性感覚障害、左上下肢の運動失調、立位歩行の異常をみとめArmstrongの診断基準からClinical research criteria for probable sporadic CBDと診断した85歳女性患者より抗IgLON5抗体を検出しているが、この患者の臨床および画像所見について検討した。大量免疫グロブリン静注療法(IVIg)により、左半身の失行、歩行障害が改善し、それぞれ低下を認めた脳血流シンチ、DATシンチ所見でも改善を認めたが、効果は一過性であり、再度免疫療法の施行予定である。
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