研究実績の概要 |
本研究は大きく、臨床MRIにおける脳小血管病の評価、剖検脳MRIによる病変評価、画像と病理学所見の対応の確立の3要素がある。臨床MRIの3D-double inversion recovery(DIR)で確認した皮質微小梗塞について、病理標本で同一部位を観察し、脳アミロイド血管症に関連した皮質微小梗塞であったことを初めて報告した論文が国際誌に掲載された(J Stroke Cerebrovasc Dis. 2018 Oct;27(10):2623-2626)。また、臨床MRIにおける脳小血管病の評価として、3テスラMRIの3D-DIR法で検出される皮質微小梗塞と磁化率強調像で検出される脳微小出血との関連について国内学会で発表した(第59回日本神経学会学術集会)。また、脳アミロイド血管症、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、高血圧性脳小血管病を背景にもつ患者の皮質微小梗塞の特徴を明らかにして国内学会と国際学会で発表した(第37回日本認知症学会学術集会、第36回日本神経治療学会学術集会、16TH Asian Oceanian Congress of Neurology,2018,Seoul)。さらに、皮質微小梗塞から脳アミロイド血管症と脳塞栓症を鑑別するための解析を行い、国際学会で発表した(International Stroke Congress,2019, Honolulu)。臨床MRIの3D-DIR法で検出される皮質微小梗塞の大きさ、部位、数、分布から脳アミロイド血管症と脳塞栓症を鑑別できるスコアを作成し、第44回日本脳卒中学会で発表した。今後は、臨床MRIにおける脳小血管病の評価、臨床MRI画像と病理学的所見の対応について得られた知見をもとに、剖検脳MRIによって検出される脳小血管病変を臨床MRI、病理所見と対応させる。
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