研究課題
血管性認知症で最も多いタイプは小血管病性認知症である。脳小血管病は神経血管ユニットを構成する脳小血管の病態を解剖学的見地から統一的に理解するための総称であり、白質病変は代表的な神経画像所見の一つである。MRI画像上ではそのほかに、ラクナ梗塞、脳微小出血、脳表ヘモジデリン沈着、血管周囲腔の拡大、皮質微小梗塞として検出され、相加的に認知機能低下に関与する。脳小血管病は病態から6つに分類されるが、MRI画像所見から病態を鑑別することはしばしば容易ではない。現状の主な問題として、画像-病理の対応が十分明らかになっていないこと、さらには画像所見と認知機能を中心とした臨床症状の対応が不明瞭であることが挙げられる。我々は、臨床で撮像されるMRI上で認める脳小血管病の所見がどのような病理学的変化を示しているかを明らかにするため、マイクロMRIを用いた手法で解析している。この手法では、生前の臨床MRIで脳小血管病が示唆された患者の剖検脳から、病変を含む6㎝×8㎝×8㎝以内の脳ブロックを作成し、死後マイクロMRI撮像で正確な病変部位を確認して病理変化を評価する。生前のMRIで脳表ヘモジデリン沈着と白質病変を認めた部位では、複数の皮質微小梗塞を伴っており、白質のミエリンの減少、血管周囲腔拡大が認められた。さらに、白質と連続して皮質内が粗鬆化してpolioaraiosisの像を示しており、生前のMRIでみられたFLAIR画像における高信号に対応する変化と考えられた。
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