研究課題/領域番号 |
18K15458
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
高橋 慶太 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (20773740)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 多発性硬化症 / LOTUS / Nogo / 血液バイオマーカー |
研究実績の概要 |
多発性硬化症(MS)は再発と寛解を繰り返しながら神経障害が進行する神経難病であり、病勢増悪時の早期診断・早期治療が予後を大きく左右する。しかし、増悪する病勢の判断を可能とする血液・髄液バイオマーカーは存在せず、MRI検査は汎用性・感度・侵襲性に課題があるため、新規バイオマーカーの開発が喫緊の課題となっている。我々はこれまでに、本学で同定した神経回路形成分子LOTUSの髄液中濃度の変動が多発性硬化症の病勢に一致して変動することを明らかにしており、本研究ではこれまでの成果をさらに進展させ、自動キャピラリー式電気泳動・解析装置であるWES法を用いて髄液中LOTUS濃度を定量解析する手法を確立した。また、中枢神経系の炎症を反映して髄液中LOTUSが変動していることも併せて明らかにし、多発性硬化症の増悪と炎症との関連についての病態の一端を分子レベルで明らかにした。
さらにこの測定系を応用し血液中LOTUS濃度の測定手法開発への展開を試みて、その手法を確立することができた。この手法を用いて多発性硬化症患者やその他の神経疾患、あるいは非神経疾患の患者血清を用いたLOTUS濃度の変動解析を行ったところ、LOTUSは多発性硬化症の病勢に従って変動することも見出した。現在患者の再発期と寛解期、また二次進行期の患者検体を用いてその変動の解析を行っており、病勢を反映する新規血液バイオマーカーとして確立しつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、髄液中LOTUS濃度の定量手法の確立が終了し、さらに血液中に含まれるLOTUSの濃度測定法も確立することができている。これらを用いて引き続き患者検体の解析を行い、多発性硬化症の早期診断・早期治療につながる新規血液バイオマーカーとしてLOTUSの臨床応用を達成できる可能性が高い
|
今後の研究の推進方策 |
上記の通り、これまでに確立した新たな定量手法を用いて患者検体の解析を継続し、これまでに類を見ない血液バイオマーカーとして確立し、臨床応用を進めていく
|
次年度使用額が生じた理由 |
WES法による測定手法の確立が難しい場合には高感度ELISAの開発を計画していたが、WES法を用いた測定手法を確立することができ、ELISAの開発が不要となったため次年度使用額が生じた。今後はWES方による解析のための試薬に使用していく予定である
|