研究課題/領域番号 |
18K15460
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
勝元 敦子 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (20806161)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | TAK1 / ミクログリア / タウオパチー / NLRP3 / ASC |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease;AD)の神経変性の病態機序における免疫や炎症の関与が注目されている。炎症反応の誘導に関する新たな経路としてインフラマソームを介した反応が注目されており、インフラマソームに関連したグリア炎症がADの神経変性の本態に関与している可能性が強く示唆されている。一方、AβとともにADの病態を特徴づける異常リン酸化タウとインフラマソームとの関連については未だ明らかではない。一方で、2018年にNLRP3活性化の制御因子として、TGF-β activated kinase-1 (TAK1)が中心的な役割を果たし(Malireddi et al. JEM)、TAK1欠損マクロファージはTLRのプライミングなしでも自発的なNLRP3活性化が生じることが報告された。 本研究では、ミクログリアにおけるタウとインフラマソームとの関連およびADの病態形成への関与を明らかにし、インフラマソームの活性化抑制に基づくADの新たな治療法開発への展開を目標としている。 我々は、ミクログリア特異的にTAK1の遺伝子発現を抑制したタウオパチーモデルマウスを用いて、免疫組織化学的検討を4ヶ月齢のTAK1コンディショナルノックアウト(hTau; TAK1fl/fl; CX3CR1Cre+)4例およびコントロールマウス(hTau; TAK1fl/fl; CX3CR1Cre-)4例の脳切片で行った。TAK1ノックアウトマウスでは、コントロール群に比してミクログリアはアメボイド型に変化し、インフラマソームシグナル伝達分子であるapoptosis-associated speck-like protein containing a CARD (ASC)発現が亢進していた。リン酸化タウ(AT8)は両群で染色されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TAK1ノックアウトマウスではコントロール症例と比較して、ミクログリアの活性化が促進されていることを確認した。また、ASCとミクログリアの共局在がコントロール群に比して多くみられ、インフラマソーム活性化を促進させた。 以上より、研究については概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
免疫組織化学的検討を6ヶ月齢、12ヶ月齢でも行い、タウ病理の変化を観察する。 また、同時期の脳組織でウェスタンブロット解析を行うことでインフラマソーム構成分子を定量、比較検証する。 さらに、タウ病理におけるTAK1を介したインフラマソーム活性化制御機構を検討するため、hTau由来の初代ミクログリア細胞を用いて、TAK1阻害によるRIPK1、RIPK3活性化の有無およびインフラマソーム活性を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体および細胞培養費用で残額が生じた。次年度にTAK1のタウ病理に与える影響についてhTau由来の初代ミクログリア細胞を用いて検討し、さらにインフラマソームの変化についても検索を予定しているため、抗体購入費用、培養用血清等の購入に使用する計画である。
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