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2018 年度 実施状況報告書

高感度デジタルELISA法によるアルツハイマー病血液バイオマーカーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K15461
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

建部 陽嗣  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00637027)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード血液バイオマーカー / アルツハイマー病 / リン酸化タウ / ニューロフィラメント
研究実績の概要

超高感度デジタルアッセイ技術であるSimoa(Single molecular array; 米国Quanterix社)を導入し,世界で初めて,ヒトの血液中でアルツハイマー病(AD)コア・バイオマーカーの1つであるp-tau(リン酸化タウ蛋白)をfg/mLのオーダー(従来のELISA法の1000倍の感度)で検出できる定量系を開発することに成功している。より安定的で再現性の高い測定をおこなうために、多施設で取得したサンプルでの測定をおこなった。安定してp-tauは測定できていたが、溶血などの条件下では、測定にバラツキが出たり、測定ができないことがあった。今後は、より多くのサンプルを測定することでエラーの出る要因を突き止め、測定系の改良につなげていく予定である。
また、近年、神経変性疾患の血液バイオマーカーとして注目されているNF-L(ニューロフィラメント軽鎖)のSimoaによる測定にも着手し、血液、髄液中で安定して測定することができるようになった。これらの技術を応用し、ダウン症候群患者の血液にて、NFL測定をおこなったところ、コントロール群と比較して有意に高値であることがわかった。また、両群において年齢と血漿NF-L量との間には有意な相関関係が観察されたのだが、この年齢依存性のNF-Lの上昇は、対照群と比較してダウン症候群患者の方が強くみられた。これらの結果は、血漿NF-Lが成人ダウン症候群患者の認知症を予測するにあたって、客観的なバイオマーカーとして役立つ可能性があることを示唆するものとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、Simoaによるp-tau測定に関して、多施設のサンプル測定を行っている最中であり、おおむね良好な結果を得ている。より安定して測定できるよう改善をおこなっている最中である。
加えて、Simoa測定系を用いて、他のバイオマーカー候補であるNF-L、total-Tau、といった物質に関しても安定して測定できるようになってきており、今後も継続して検討をおこなっていく予定である。

今後の研究の推進方策

より多くのサンプルでの血漿p-tau測定を実施し、改良をおこなうことで、より安定性、再現性の高い測定系の確立を目指す。
また、バイオマーカーの候補となり得る物質の測定系の作成も行い、より認知症に対して感度・特異度の高い血液バイオマーカーの探索をおこなっていく。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、これまでに研究室で購入済みの消耗品を使用していたため、予定より少ない金額で研究が行うことができたが、今年度はストックがないため、消耗品購入に費用がかかることが予想されるため。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Plasma neurofilament light chain: A potential prognostic biomarker of dementia in adult Down syndrome patients2019

    • 著者名/発表者名
      Shinomoto Makiko、Kasai Takashi、Tatebe Harutsugu、Kondo Masaki、Ohmichi Takuma、Morimoto Masafumi、Chiyonobu Tomohiro、Terada Naoto、Allsop David、Yokota Isao、Mizuno Toshiki、Tokuda Takahiko
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 14 ページ: e0211575

    • DOI

      https://doi.org/10.1371/journal.pone.0211575

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Quantification of brain-derived extracellular vesicles in plasma as a biomarker to diagnose Parkinson's and related diseases2019

    • 著者名/発表者名
      Ohmichi Takuma、Mitsuhashi Masato、Tatebe Harutsugu、Kasai Takashi、Ali El-Agnaf Omar M.、Tokuda Takahiko
    • 雑誌名

      Parkinsonism & Related Disorders

      巻: 61 ページ: 82~87

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.parkreldis.2018.11.021

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Biomarker repurposing: Therapeutic drug monitoring of serum theophylline offers a potential diagnostic biomarker of Parkinson’s disease2018

    • 著者名/発表者名
      Ohmichi Takuma、Kasai Takashi、Kosaka Tadashi、Shikata Keisuke、Tatebe Harutsugu、Ishii Ryotaro、Shinomoto Makiko、Mizuno Toshiki、Tokuda Takahiko
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 13 ページ: e0201260

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0201260

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ヒト血漿中リン酸化タウ蛋白の新規定量系の開発とアルツハイマー病の血液診断への応用2018

    • 著者名/発表者名
      建部 陽嗣, 大道 卓摩, 笠井 高士, 近藤 正樹, 藁谷 正明, David Allsop, 徳田 隆彦
    • 学会等名
      第59回日本神経学会学術大会
  • [学会発表] Brain-derived exosomes as potential blood biomarkers for Parkinson's disease and parkinsonism2018

    • 著者名/発表者名
      大道 卓摩, 三橋 将人, 建部 陽嗣, 笠井 高士, 水野 敏樹, 徳田 隆彦
    • 学会等名
      第59回日本神経学会学術大会
  • [学会発表] ダウン症候群における血漿中総タウ濃度およびリン酸化タウ濃度は年齢依存性に増加する2018

    • 著者名/発表者名
      笠井 高士, 徳田 隆彦, 建部 陽嗣, 近藤 正樹, 石井 亮太郎, 大道 卓摩, 中川 正法, 水野 敏樹
    • 学会等名
      第59回日本神経学会学術大会
  • [学会発表] 成人期ダウン症候群における血漿中リン酸化タウ濃度上昇は認知症発症を予測する2018

    • 著者名/発表者名
      笠井 高士, 徳田 隆彦, 建部 陽嗣, 近藤 正樹, 石井 亮太郎, 大道 卓摩, 中川 正法, 水野 敏樹
    • 学会等名
      第37回日本認知症学会学術大会

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公開日: 2019-12-27  

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