研究実績の概要 |
マウス急性脳虚血再灌流モデルで、ペマフィブラート(0.3 mg/kgまたは1.0 mg/kg)または偽薬を経口投与したところ、vehicle群に比べてペマフィブラート投与群では、48時間後の2,3,5-Triphenyl tetrazolium chloride(TTC)染色による脳梗塞体積が有意に縮小していた。神経学的スコアによる神経症状は、vehicle群に比べてペマフィブラート投与群では有意に良好であった。ペマフィブラート低用量投与群と高用量投与群間では有意な差はなかった。ペマフィブラート群、プラセボ群の2群間において、脳梗塞前後の脂質プロファイルの変動に有意な差はなく、脳梗塞後の予後改善効果はペマフィブラートの資質改善効果は寄与していないものと推測された。 ペマフィブラートの抗炎症効果に着目し、脳梗塞後の脳組織において炎症性メディエーターをwestern blotting、免疫組織染色、real-time PCRなどを用いて検討した。その結果、NF-kB、P-p38MAPKの発現がペマフィブラート群でVehicle群と比べて低下する傾向が見られ、炎症性サイトカインとしてIL-1bやTNFaの遺伝子発現が低下している傾向が見られたものの、再現性に乏しく、今後のさらなる検討を要する。 並行して行った臨床研究では、約110例の患者登録を行い、現在追跡調査中である。中間解析結果として、ペマフィブラートを投与した脳梗塞患者において有意な脂質改善(中性脂肪低下、レムナント低下、HDLコレステロール上昇)効果、肝機能改善効果、炎症マーカー低下がみられ、論文にて報告した(Hoshino T, et al. J Atheroscler Thromb 2021)。
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