研究課題
閾値を用いて運動チックと随意運動を弁別する可能性について、モーションセンサーを用いて予備的検討を行った。協力を得た30名の患者には緩慢な運動チックを呈する人も多くみられ、単純なモデルで速度のみで運動チックと随意運動を弁別することは困難であることがわかった。また全身の多様な運動チックに対し、その全てに対して随意運動との比較を、十分なサンプルサイズで比較対照を行うことは困難であることがわかった。一方で、予備的検討に参加した患者の多くに素早い頸部運動チックがみられ、トゥレット症候群患者には頸部椎間板ヘルニア・椎骨動脈解離などの深刻な合併症が多いことがわかったため、研究対象を頸部運動チックに絞った。モーションセンサーにあわせて、時間解像度の高いジャイロを用いて、患者27名・健常成人45名の頸部の運動を測定した。頸部運動チックが随意運動と比較して非常に素早い動きである、という仮説を裏付けられる結果を得られた。またYGTSS(イェール全般的チック重症度尺度)などのチックの重症度評価と、頸部の運動チックの素早さとの間に相関が認められたが、検定では有意水準に達しなかった。実験中にみられたチックの回数と頸部運動チックの回転速度には正の相関がみられた。本研究は頸部の運動チックの回転速度・加速度を定量的に計測した、初めての研究であったため、成果をまとめて投稿し、2020年にProgress in Neuropsychopharmacology & Biological Psychiatry誌に掲載された。
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Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry
巻: 108 ページ: 110092~110092
10.1016/j.pnpbp.2020.110092