研究実績の概要 |
本研究は3ヶ年計画であり、抗精神病薬を1日複数回服用している統合失調患者を対象とし、1日1回投与に変更することで服薬事象監視システム(もしくは自動服薬記録薬瓶)(MEMS)によって測定した服薬アドヒアランスが向上するかについて、無作為化比較試験(RCT)によって検証するものである。同時に、薬物動態学・薬力学関連分子の遺伝子多型を調べ、どのような患者が1日1回投与に適しているかについても明らかにする。研究次年度である昨年度は、複数の評価者を雇用し評価体制を構築した。その上で、研究対象者の登録を行い、現時点で6名登録され、2名が脱落、4名が完遂している。 加えて、本研究の背景に寄与することから、向精神薬の1日1回投与と分割投与を比較したRCTのメタアナリシスを行った。1日1回投与は、分割投与と比較し、有効性および効果おいて有意な差がなかったが、有害事象のうち眠気、不安について有意に少なかった。向精神薬はその種類や半減期にかかわらず1日1回投与で十分であることを示し、査読あり英文学術誌に受理された(Kikuchi Y, Shimomura Y, Suzuki T, Uchida H, Mimura M, Takeuchi H. Journal of Clinical Psychiatry. In press)。これらの結果は、本研究の仮説の一部を支持するものである。
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