・リンパ球刺激試験を用いた免疫学的機序の関与の検証 <リンパ球刺激試験>副作用発症群としてクロザピン誘発性無顆粒球症症例4例とtolerant control群として副作用を発症しなかった4症例の末梢血単核細胞(PBMC)を用いた。PBMCにクロザピンを添加し、さらに3H-thymidineを加え培養した上でその取り込みを測定した。無顆粒球症症例群とtolerant control群で2倍程度の反応の差が見られた。 ・HLA関連解析によるHLA-B*59:01とCIAGの関連の追試 <無顆粒球症とtolerant controlを用いた検討>昨年度は、general controlを用いた検討を行った。今年度は無顆粒球症を9症例まで増やし、対照群としてtolerant control121症例を用いた検討を行った。解析の結果P=0.001 と統計学的有意差を認め追試に成功した。 <次世代シーケンサー(NGS)を用いた詳細な遺伝子型の検討>クロザピン誘発性無顆粒球症・顆粒球減少症の遺伝的リスクであるHLA-B*59:01はHLA-B*59:01:01:01とHLA-B*59:01:01:02の2つの多型があることが知られている。HLA-B*59:01を保有していたとしても、無顆粒球症を発症しない症例もあることから、この多型の違いが発症に寄与している可能性があると考えた。そこで、まずHLA-B*59:01を保有する無顆粒球症・顆粒球減少症14症例とtolerant control24症例を用いて、NGSでHLA-B*59:01を8桁までジェノタイプした。最後に両群間における多型の頻度を比較したところ、統計学的有意差は認めなかった。このことからこの2つの多型によって、クロザピン誘発性無顆粒球症・顆粒球減少症発症の危険性に差が生じる可能性は低いと考えられた。
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