研究の目的は主に痛覚の皮質下抑制を測定することにあった。今回、痛覚と触覚による感覚抑制を検出する測定実験を行い、目的とする感覚抑制を認める実験結果を得ることができた。 具体的には13人の被験者に対して、痛覚線維であるAδと触覚のβ線維の刺激を、異なった体表部位(右手、左足)に0.6秒離して行った。それぞれの刺激に対する反応を脳磁図にて測定し、反応の大きさを比較することで抑制率を測定した。痛覚線維、触覚線維それぞれおいて20-30%程度の抑制を確認した。 本実験での結果は2つの点において意義がある。一つは痛覚と触覚の皮質下での相互作用を示したことである。痛覚と触覚は抹消においてことなる線維によって情報が伝達されることが知られているが、皮質下において統合されることを示している。2つめは体の異なった部位においてそれらの情報はお互いに統合されるということである。痛 -触 、体の部位を超えての抑制を示した。これらのことは痛 鎮痛メカニズムの解明の一助になると考えている。 この結果は「Nociceptive stimuli suppress reactions of somatosensory stimuli regardless the location.」というタイトルでSociety for Neuroscience 学会にて発表を行い、brain topographyというjounalに掲載された。
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