向精神薬の投与による脂質含量変化を検討した結果、統合失調症患者死後脳の白質におけるスフィンゴ脂質含量の有意な減少は向精神薬の影響ではない可能性が示唆された。また、薬理学的精神疾患モデルマウスにS1P受容体の外因性リガンドを投与して精神疾患様行動異常への効果を評価したところ、一部のリガンドが精神疾患様行動異常抑制効果を示した。また、野生型マウスへの外因性リガンドの投与は行動異常や血中パラメーターの変化などの副作用を引き起こさなかった。これらのことから、統合失調症の病態メカニズムへのS1P受容体を介したシグナル経路の関与およびS1P受容体外因性リガンドの精神疾患治療薬候補の可能性が示唆された。
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