研究課題
4施設(富山大学、東邦大学、東北大学、および東京大学)で連携して収集した107例の精神病発症危険状態 (at-risk mental state: ARMS) 群および104例の健常対照群のMRIデータを対象に、画像解析ソフトFreeSurfer (ver.5.3) を用いて、大脳皮質下構造の群間比較を行った。ARMS群全体においては、左側優位の側脳室・尾状核・淡蒼球の体積増加と右側坐核の体積減少を認め、精神病性障害への脆弱性を表す所見と考えられた。これらの主要成果をまとめ、Schizophrenia Bulletin誌に原著論文として公表した(Sasabayashi et al., 2020)。今年度は大脳皮質下領域の他の関心領域についても検討を進めた。女性被験者に限定した場合にARMS群における脳梁体積の減少を認めた一方で、ARMS群における脳幹体積の変化は見出せなかった。また自施設データを用い、統合失調症およびARMS群における海馬亜領域の体積変化について公表した(Sasabayashi et al., 2021)。
1: 当初の計画以上に進展している
多数例のMRI画像の撮像および臨床評価を概ね完了し、主要な成果は国内・国際学会で発表し、原著論文として国際誌に公表した。その後は更に、大脳皮質下領域体積変化の臨床的意味づけの検討や皮質下諸核を細分化したより高精度の解析を進めつつある。
ARMS群全体における大脳皮質下領域の形態変化の臨床的意義については未だ不明な点が多いため、大脳皮質下構造と認知・社会機能の評価指標との関連を調べる。また最近の画像解析技術の発展に伴い、海馬や脳幹をその亜領域に更に細分化して計測するなど、より高精度な解析を進めていく。
COVID19パンデミックのため、参加を予定していた国際学会が中止もしくは延期となったため。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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