本研究は、実験動物であるラットに亜鉛欠乏および社会的孤立という2つの負荷を別々または同時に負荷し、諸検査を行いその結果を比較するものである。コントロール、亜鉛欠乏のみ、社会的孤立のみ、亜鉛欠乏+社会的孤立、の4群において行動解析を実施した。 上記4群においてすべての検査を行うことを考慮したが、まずはコントロール、亜鉛欠乏のみの2群において諸検査を進める方針とした。コントロール、亜鉛欠乏のみの2群において血中の酸化ストレス物質を測定するべく採血を行ったところ、核酸由来の酸化ストレス物質である8-OHdGはコントロールで高値の傾向を認め、脂質由来の酸化ストレス物質である8-isoprostanesでは、亜鉛欠乏群において有意差をもって高値であった。 64Cu-ASTMという核種を用いた全脳のイメージング検査をコントロール、亜鉛欠乏のみの2群において行ったところ、両群において相違は認められず、部位差も認めなかった。 血中の酸化ストレス物質測定では、酸化ストレス物質によって増減が逆転するという結果が得られた。一方で、64Cu-ATSMでの全脳イメージング検査では、両群間での有意な差は脳内のどの部位においても得られなかった。この2種類の実験において、どうしてこのような乖離が生じるかについては、今後の新たな実験系を立ち上げることが必要であると考えられた。
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