研究実績の概要 |
・大脳皮質への分化誘導:健常者由来のiPS細胞から大脳皮質様組織への分化誘導実験を行った。分化誘導の方法は、報告者が先行研究で行ったSFEBq法の変法を用いた(Eguchi et al, 2018)。この方法により得られた組織中に、大脳の神経細胞からなる層構造が形成されていることを確認した。また、統合失調症患者由来のiPS細胞からも同様に分化誘導実験を行い、大脳の神経細胞からなる層構造の形成を確認した。以上のことから、健常者由来、統合失調症患者由来のiPS細胞から大脳皮質様組織への分化誘導に成功したと考えられる。 ・中脳への分化誘導:中脳への分化誘導には、PA6細胞上にiPS細胞を播種するSDIA法がより簡便と考えられたため、SDIA法による分化誘導を試みた。健常者由来のiPS細胞を用いてSDIA法を行い、神経細胞への分化を確認した。更に得られた神経細胞は、中脳の細胞に発現するOTX2、モノアミン神経に発現するTHが陽性であることも確認した。これらの結果から、iPS細胞から中脳ドーパミン神経を得る実験には成功したと考えられる。しかしながら、分化させた中脳ドーパミン神経と大脳皮質様組織の間でシナプスを形成させる実験では、シナプスの形成は確認できなかった。
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