本研究は、患者への時間的負担が少なく、臨床応用し易い脳波計を用い、大きなサンプルサイズでの統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害、及び健常者のγ帯域ASSRの包括的評価を行い、双極性障害の診断及び症状マーカーとなる指標を発見することを目的として行われた。本研究での主な研究実績は 1) γ帯域ASSRの健常者での再現性、信頼性について異なる脳波計間でも十分な再現性が得られる事を明らかにした。この結果は今後の異なる脳波計を用いた多施設共同研究においても、ASSRは有効な指標となり得る事を示している。 2) 健常者、疾患群(統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害)の4群比較において、Fzチャンネルでの位相一致度(Phase locking factor)において、健常者に比べて、統合失調症および双極性障害では位相一致度の低下が見られるものの、大うつ病性障害では健常者と差がない事を示した。今後はサンプル数を増やしての、さらなる検討が必要と考えられる。
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