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2019 年度 実施状況報告書

多発家系iPS細胞による双極性障害細胞モデルの開発と原因変異の探索

研究課題

研究課題/領域番号 18K15521
研究機関琉球大学

研究代表者

高松 岳矢  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90801431)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード双極性障害 / iPS細胞 / 神経分化誘導 / 疾患モデル / モデル細胞 / 気分障害 / 疾患ゲノム
研究実績の概要

2019年度は(1)ウイルスベクターを用いた神経細胞分化誘導系のセットアップ(2)分化誘導した神経細胞のカルシウムイメージングの予備実験(3)原因候補遺伝子Aのゲノム編集用ターゲッティングベクターの構築を行った。
(1)Zhangらの先行研究(Neuron, 2013年)を基にレンチウイルスベクターを用いてNeurogenin2遺伝子(Ngn2)をiPS細胞に導入し、神経細胞をin vitroで分化誘導した。培養期間や試薬を調整し、成熟した細胞を均一に得られる条件を繰り返し検討した。リアルタイムPCR法と免疫細胞染色法で神経細胞マーカーの発現を確認した。家系内双極性障害患者と非罹患者iPS細胞を並列で神経分化誘導し、共に分化誘導されることを観察した。来年度、罹患者と非罹患者の細胞機能の詳細な比較検討を行う。
(2)倒立型蛍光顕微鏡に灌流装置をセッティングし、iPS細胞由来神経細胞でカルシウムイメージングを安定しておこなえるよう予備実験を行った。バッファー、カルシウム指示薬、培養日数、刺激条件などを検討し、自発活動および刺激条件下でのカルシウムイオンの変動を計測する方法を決定した。来年度、罹患者と非罹患者のカルシウムイメージングを行う。
(3)家系で見出した候補変異周辺のゲノム配列をクローニングし、ターゲッティングベクターを構築した。家系内罹患者のiPS細胞に、デザインしたsgRNAとCas9ヌクレアーゼをエレクトロポレーションでコトランスフェクションし、十分なゲノム切断効率を確認した。来年度、ターゲッティングベクターを用いたノックインによる変異修復株作成を行う。
そのほか、遺伝子AのCDSの野生型と変異型をクローニングしレンチウイルスベクターを構築した。今後、遺伝子を細胞に導入し、比較検討を行う。また、2019年度に計画していた遺伝子Aの抗体作成は時間がなく延期した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(1)分化誘導効率と細胞集団の均一性、実験の再現性を高めるため、神経分化誘導方法を化合物によるニューロスフェア法からレンチウイルスベクターによるリプログラミング法へ変更した。そのため、当初の計画より時間がかかった。
(2)2018年4月に研究代表者に第2子が誕生したため、2人の子の養育に時間を要し、実験業務にかける時間を計画より減らさざるを得なかった。
(3)2018年4月に研究代表者が助教に昇進したため、教育と管理業務が増え、研究にかける時間を計画より減らさざるを得なかった。
(4)2019年に研究代表者は肩を損傷し、5ヶ月間、毎週通院とリハビリを要した。その間就労時間の減少と実験作業効率の低下が発生した。
以上の理由により進捗が遅れたため、本研究課題は期間を2年間から3年間へ延長した。

今後の研究の推進方策

2020年度はこれまでに条件を決定した神経分化誘導法とカルシウムイメージング法を用いて、家系内罹患者と非罹患者を比較し、細胞表現型を明らかにする。また遺伝子Aの変異修復株を完成させ、変異修復により細胞表現型が是正されるかを検証する。
進捗状況欄に記載した通り、研究代表者が育児と教育業務などにより実験にあてる時間が不足する場合は、研究補助員を雇用する。
しかし2020年4月現在新型コロナウイルスの感染拡大により、実験室で研究活動ができない状況にある。その間は、データ整理と解析、文献調査、実験計画の作成など、在宅で研究を継続する。

次年度使用額が生じた理由

2019年度は当初予定していた以上に研究代表者の育児と教育業務などにかかる時間が増え、実験にあてる時間が不足したため、結果として使用額が減少した。2020年度はパートタイム研究補助員を雇用し、これまでに条件を決定した神経分化誘導法とカルシウムイメージング法を用いて、家系内罹患者と非罹患者を比較し、細胞表現型を明らかにする。また遺伝子Aの変異修復株を完成させ、変異修復により細胞表現型が是正されるかを検証する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 双極性障害モデル細胞の開発:沖縄県の疾患多発家系を用いた疾患ゲノムとiPS細胞の統合アプローチ2020

    • 著者名/発表者名
      髙松 岳矢、柳 久美子、 馬目 陽子、李 俊錫、當山 奏子、Dimitar Dimitrov、原(宮内) 央子、長谷川 実奈美、小金渕 佳江、早川 朋子、服部 功太郎、功刀 浩、近藤 毅、高橋 智幸、要 匡、木村 亮介、岡野ジェイムス洋尚、松下 正之
    • 学会等名
      第43回日本神経科学大会
  • [学会発表] 特定の遺伝要因をもつ双極性障害iPSモデル細胞の開発の試み2020

    • 著者名/発表者名
      髙松 岳矢、柳 久美子、馬目 陽子、李 俊錫、當山 奏子、Dimitar Dimitrov、原(宮内) 央子、長谷川 実奈美、小金渕 佳江、早川 朋子、服部 功太郎、功刀 浩、近藤 毅、木村 亮介、高橋 智幸、岡野 ジェイムス洋尚、要 匡、松下 正之
    • 学会等名
      第116回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] 双極性障害多発家系iPS細胞の分化誘導神経細胞の検討2020

    • 著者名/発表者名
      高松岳矢、李俊錫、Dimitar Dimitrov、馬目陽子、當山奏子、原(宮内)央子、長谷川実奈美、早川朋子、柳久美子、小金渕佳江、服部功太郎、功刀浩、近藤毅、木村亮介、要匡、高橋智幸、岡野ジェイムス洋尚、松下正之
    • 学会等名
      第41回沖縄精神神経学会
  • [学会発表] Development of induced pluripotent stem cell model of bipolar disorder derived from an Okinawan pedigree with a potential genetic component2019

    • 著者名/発表者名
      GAKUYA TAKAMATSU, KUMIKO YANAGI, JUNSEOK LEE, YOKO MANOME, CHIKAKO HARA-MIYAUCHI, KAE KOGANEBUCHI, KOTARO HATTORI, MINAMI HASEGAWA, MUTSUMI ISA, DIMITAR DIMITROV, TOMOKO HAYAKAWA, TSUYOSHI KONDO, TOMOYUKI TAKAHASHI, HIROSHI KUNUGI, HIROTAKA JAMES OKANO, RYOSUKE KIMURA, TADASHI KANAME, MASAYUKI MATSUSHITA
    • 学会等名
      Neuroscience 2019 (49th annual meeting of Society for Neuroscience)
    • 国際学会
  • [学会発表] 強い遺伝要因をもつ双極性障害iPSモデル細胞の開発の試み2019

    • 著者名/発表者名
      高松 岳矢、柳 久美子、馬目 陽子、小金渕 佳江、李 俊錫、當山 奏子、伊佐 睦美、服部 功太郎、早川 朋子、原(宮内) 央子、長谷川 実奈美、Dimitar Dimirov、高橋 智幸、功刀 浩、近藤 毅、木村 亮介、要 匡、岡野ジェイムス洋尚、松下 正之
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 双極性障害多発家系による病態モデル細胞の開発の試み:家系例のゲノムシーケンスと疾患iPS細胞の統合アプローチ2019

    • 著者名/発表者名
      高松岳矢、柳久美子、馬目陽子、小金渕佳江、李俊錫、當山奏子、服部功太郎、早川朋子、原(宮内)央子、長谷川実奈美、功刀浩、近藤毅、木村亮介、要匡、岡野ジェイムス洋尚、松下正之
    • 学会等名
      第70回西日本生理学会

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公開日: 2021-01-27  

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