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2019 年度 実施状況報告書

コリン作動性ニューロンによる情動調節における時計遺伝子Bmal1の役割

研究課題

研究課題/領域番号 18K15524
研究機関岐阜大学

研究代表者

大塚 剛司  岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (60760395)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード時計遺伝子 / Bmal1 / ChAT / 情動行動 / コリン作動性ニューロン / インスリン感受性
研究実績の概要

これまでの研究において、時計遺伝子Bmal1の抑制因子として働くRev-erbαのKOマウスが、情動行動異常と共にコリン作動性神経にも異常をきたすことがわかっている。そのためコリン作動性神経と時計遺伝子とのつながりを明らかにするため、Rev-erbαの転写活性因子であるBmal1をコリン作動性神経特異的にKOしたChAT-Bmal1KO マウスを作成して実験を行う計画であった。しかし研究代表者異動に伴うマウス移転の遅延に加え、前所属先でのmatingに関わるトラブルにより、Bmal1-floxed マウスに別の遺伝子が混入してしまっていた。そのため、2019年度はその遺伝子を抜くためのMating作業および新規実験環境のセットアップに追われた。そして無事遺伝子の除去が終了し、マウスが増え始めているところである。
これまで実行した不安様行動テストおよびうつ様行動テストでは明らかな情動行動異常を捉えることができなかった。そこで、今回は行動テスト様式を増やし、情動以外の行動異常にも目を向けて実験を行う。
これまでの予備実験によりChAT-Bmal1KO マウスはBmal1-floxed マウスと比べて、5時間絶食後の血糖値が低い傾向にあることがわかった。またインスリン負荷試験においても、ChAT-Bmal1KO マウスはBmal1-floxed マウスと比べて血糖値の減少幅が大きいことから、ChAT-Bmal1KO マウスはインスリンの感受性が高い可能性がある。さらにChAT-Bmal1KO マウスはBmal1-floxed マウスと比べて体重も少ないため、代謝機能に何らかの影響が出ている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

前所属先でのmatingに関わるトラブルにより、Bmal1-floxed マウスに混入してしまっていた別の遺伝子を抜くためのMating作業、および新規実験環境のセットアップに追われたため、研究が遅れた。現在順調にマウスの数が増え、実験可能な数が揃いつつある。本来の研究期間から1年延長し、研究の遅れを取り戻すべく急ピッチで研究を進める予定である。

今後の研究の推進方策

前回の行動テストの結果から、ChAT-Bmal1KO マウスが何らかの情動行動異常を示す可能性が示唆されたが、表現型としては非常に弱い。そのため、今回実施した行動テストと異なる指標の行動テストを実行し、行動異常の種類を明確にする必要がある。行動の表現型を明確にした後、コリン作動性の神経核であるBasal of Mynertおよび投射先であるPrefrontal cortexの機能と時計遺伝子との関わりを検討し、行動異常発現の原因を探る予定である。さらに、予備試験の結果ではインスリン感受性にも何かしらの影響が出ている可能性がある。そのため、末梢での異常に関しても検討し、中枢の異常との関わりを調べる予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由として、、マウスの移動手続きおよび検疫の遅延に加え、前所属先でのトラブル、研究代表者の所属機関異動などにより、当該年度に購入予定であった遺伝子改変動物および研究機器が購入できなかったことがあげられる。そしてこれらが重なったことで実験が滞ったことから研究期間を1年延長したため、次年度使用額が生じた。また、新型コロナウイルスの影響により学会等が中止になり、本来使用するはずであった旅費や研究にかかる物品の購入がなかったことも理由の1つである。次年度は本来行うべき実験にかかる物品および消耗品を購入し、円滑に実験を遂行する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Adverse Effects of Circadian Disorganization on Mood and Molecular Rhythms in the Prefrontal Cortex of Mice2020

    • 著者名/発表者名
      Otsuka. T, Le. HT, Kohsaka. A, Sato. F, Ihara. H, Nakao. T, Maeda. M
    • 雑誌名

      Neuroscience

      巻: 432 ページ: 44-54

    • DOI

      10.1016/j.neuroscience.2020.02.013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Smad3 suppresses epithelial cell migration and proliferation via the clock gene Dec1, which negatively regulates the expression of clock genes Dec2 and Per1.2019

    • 著者名/発表者名
      Sato. F, Otsuka. T, Kohsaka. A, Le. HT, Bhawal. UK, Muragaki. Y
    • 雑誌名

      The American Journal of Pathology

      巻: 189 ページ: 773-783

    • DOI

      10.1016/j.ajpath.2019.01.006

    • 査読あり
  • [学会発表] Constant light exposure leads to the down-regulation of clock genes expression with circadian clock disorganization in pregnant beef cows2020

    • 著者名/発表者名
      T. Otsuka, H. Mitsuishi, H. Onishi, M. Yayota
    • 学会等名
      第97回日本生理学会
  • [学会発表] 黒毛和種繁殖牛は妊娠期特有の時計遺伝子発現リズムを示す2019

    • 著者名/発表者名
      大塚剛司、三ツ石裕貴、大西裕貴、八代田真人
    • 学会等名
      2019東海畜産学会学会
  • [学会発表] Evaluation of circadian clock using follicle cells in Japanese black cattle.2019

    • 著者名/発表者名
      T. Otsuka, H. Mitsuishi, H. Onishi, M. Yayota
    • 学会等名
      第26回日本時間生物学会
  • [学会発表] Evaluation of circadian clock using follicle cells in Japanese black cattle2019

    • 著者名/発表者名
      T. Otsuka, H. Mitsuishi, H. Onishi, M. Yayota
    • 学会等名
      第26回日本時間生物学会
  • [学会発表] Smad3 suppress epithelial cells migration and proliferation via the clock gene Dec1, which negatively regulates the clock genes Dec2 and Per12019

    • 著者名/発表者名
      F. Sato, T. Otsuka, A. Kohsaka, H. T. Le, B. K. Bhawal, Y. Muragaki
    • 学会等名
      第26回日本時間生物学会
  • [学会発表] 生体リズムの乱れは情動行動および前頭前皮質の時計遺伝子機能に影響する2019

    • 著者名/発表者名
      向阪 彰、大塚剛司、レ ティ フォエ、中田正範
    • 学会等名
      第86回和歌山医学会総会

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公開日: 2021-01-27  

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