研究課題
本研究では、性差の観点からストレスによる精神疾患におけるオピオイド神経伝達系の役割を明らかにすることを目的とし、ストレス応答や疼痛・鎮痛において重要な役割を果たす、オピオイド受容体に着目し、行動薬理試験と種々の手法を組み合わせストレス応答に対するオピオイド神経系の役割について詳細な解析を行った。我々はこれまでに、アルコールにより誘発される報酬効果とμオピオイド受容体神経伝達の関連について雌雄差を確認し、雌性μオピオイド受容体欠損(MOP-KO)マウスではアルコールへの嗜好が高まることを明らかにした。そこで、雌雄MOP-KOマウスに慢性隔離ストレスを負荷し、中枢神経刺激薬であるメタンフェタミンの移所運動量と再燃の有無を検討したところ、雌雄MOP-KOマウスにおいて休薬後の行動量が有意に減少していた。また、抗うつ薬として注目されているケタミンの効果を、慢性的ストレスを負荷したマウスで確認したところ、ケタミン10mg/kgの連続投与による移所運動量が雌雄で異なることを明らかにした。さらに、ストレス感受性の性差とμおよびδオピオイド受容体の関与を明らかにすることを目的とした研究を行い、ストレス耐性機能報告のあるMOP-KOマウスに、新規δオピオイド受容体(DOP)作動薬を投与した行動解析から、DOPを介したストレス耐性機能は、少なくともMOPを介したものと独立して機能していることを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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