研究課題
若手研究
管腔臓器のように体内で位置や形状が日々変化する臓器に対して放射線治療を行う場合、標的となる臓器が治療計画時点の状態と実際の治療時点で一致しない恐れがある。日々の治療時の標的の位置・形状に合わせて最適化した放射線治療を実現するために、本研究ではMRI画像を教師データとして人工知能の学習を行い、臓器の位置や形状の変化を予測・追跡する技術の開発を試みた。過去に撮像された100症例のMRI画像を用いて膀胱の輪郭を自動描出するための機械学習を行い、ダイス係数94.4%の精度で自動描出することに成功した。
放射線治療学
MRIは放射線被曝なしに画像情報を取得できるため、日々の放射線治療時の臓器の位置や形状を取得する手法として最適である。本研究で、人工知能の機械学習によりMRI画像上で日々の膀胱の位置・形状を高精度に取得できることが示された。この技術は他の管腔臓器においても利用可能であり、MRI撮像機能を搭載した放射線治療装置が既に開発されていることから、本研究はMRIを用いて日々の臓器の位置・形状に最適化した放射線治療(すなわち適合放射線治療)を実現するための礎になる。