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2019 年度 実施状況報告書

低線量放射線の短時間間隔複数回照射による放射線抵抗性癌細胞制御効果とその機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K15537
研究機関弘前大学

研究代表者

寺島 真悟  弘前大学, 保健学研究科, 助教 (00583733)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード低線量放射線 / 複数回照射 / 放射線抵抗性細胞
研究実績の概要

申請者は、高線量率で低線量放射線を短時間のインターバルで複数回照射することにより、総線量が同じ単回照射と比べて癌細胞生存率が効果的に低下することを見出している。本研究では、申請者が考案した低線量放射線を用いた短時間間隔での複数回照射方法が放射線抵抗性癌細胞の癌病態制御に有効かどうかを検証するとともに、その作用機序を明らかにし、照射間隔制御による難治性癌にも有効な放射線治療戦略を確立することである。
2019年度は、ヒト口腔扁平上皮癌細胞SAS及びヒト肺癌細胞A549を用いて放射線抵抗性である低酸素細胞を作成し、申請者が考案した複数回照射方法が放射線抵抗性癌細胞の癌病態制御に有効かどうかを検証した。BIONIX低酸素培養キットを用いて、酸素濃度約0.5%の低酸素状態を作成し、Western blottingによりSAS及びA549で最も低酸素誘導因子1α(HIF-1α)が発現する培養時間を確認した。本研究では、低酸素状態で最もHIF-1αを発現する培養時間4時間後に、総線量8 Gyの低線量の複数回照射(分割線量0.25 Gy)及び8 Gyの単回照射を行った。照射後に通常酸素下で6時間正常培養した後、細胞を回収し再度播き直し細胞増殖能及びコロニー形成法によるクローン増殖能の評価を行った。照射終了から、3、5日後において単回照射と比べ低線量の複数回照射で有意な細胞数の減少が観察された。また、コロニー形成法においても同様に単回照射と比べ低線量の複数回照により有意な生存率の低下が観察された。
低酸素状態による放射線抵抗性細胞においても、低線量の複数回照射によって細胞致死効果の増強が得られることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

昨年度の放射線抵抗性の低酸素細胞の作成の遅れにより、研究全体の進捗が遅れた。比較的大量のサンプルを処理する低酸素細胞に対する細胞増殖能、コロニー形成法によるクローン増殖能の申請者が考案した照射手法の評価が終わったので、現在は癌病態に対する細胞遊走能・浸潤活性能の評価に取りかかっている。

今後の研究の推進方策

令和2年度は、申請者が考案した照射手法による細胞遊走能・浸潤活性能の癌病態に対する制御効果を検証する。

次年度使用額が生じた理由

初年度の進捗による遅延の影響と、令和元年度に業務として新たに卒業研究指導が加わったことにより業務の多忙のため実験に遅延が生じた。進捗が遅れた分の実験に使用する消耗品などの経費と、現在までの研究成果の論文投稿にかかわる経費及び論文改定の際に予想される追加実験の経費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] RTPSを用いた全身照射におけるMU値及び補償物質の検討2019

    • 著者名/発表者名
      寺島 真悟、駒井 史雄、菅原 大夢、高橋 由佳、木村 直希、横山 昂生、岩崎 晃、細川 洋一郎、須崎 勝正
    • 雑誌名

      弘前医学

      巻: 70 ページ: 47~55

    • DOI

      https://doi.org/10.32216/hirosakiigaku.70.1_47

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-01-27  

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