研究実績の概要 |
本年度はまず、グラフィックスプロセッシングユニットgraphics processing unit (GPU)を搭載したワークステーションを導入し、深層学習を行うためのプログラミング環境設定および、深層学習に関するGenerative adversarial network (GAN)やGradient-weighted Class Activation Mapping (Grad-CAM)、ハイパーパラメータ適正化、などといった発展的な手法の実装を行った。深層学習の概念や実装の経験について、講演発表を行った。 続いて、肝臓CT画像から、肝線維化ステージングを行うための深層学習モデルを開発した。肝線維化の程度は、新犬山分類をもとにF0(正常肝)からF4(肝硬変)にまで分類されるが、肝線維化の進行は門脈圧亢進症や肝細胞癌の発生と関連しており、その診断は重要である。しかし、CT画像の視覚的評価では肝線維化stagingを行うことは困難であった。肝表部分を拡大した造影門脈相CT画像を入力用データ、病理組織学的に評価された新犬山分類データを教師データとして教師あり深層学習を行った。深層学習においては、過学習の問題が知られているので、学習用データにより学習を行い、学習用データとは別に準備をした検証用データを用いて、作成されたモデルの性能の検証を行った。開発したモデルを用いることで、F2以上、F3以上、F4以上の肝線維化をそれぞれReceiver operating characteristic解析における曲線下面積area under the curve (AUC) = 0.74, 0.76, 0.73で、ステージングすることが可能であった。当該研究結果について、学会発表や論文発表を行った。
|