器質的心疾患に合併する心室頻拍(VT)に対するカテーテル心筋焼灼術のターゲットである遅延電位(late potential:LP)の局在領域を安静時99mTcMIBIシンチグラフィを用いて予測が行えるかの評価のため本研究を施行した。研究開始当初の目標症例数は虚血性心筋症5例、非虚血性心筋症5例としたが、虚血性心筋症については2018年4月以降5例の症例を経験した、一方で非虚血性心筋症については3例の経験に留まった。非虚血性心筋症については初回症例は心内膜側からのアプローチのみで施行したが、心外膜側のマッピングを行う必要性があると推定される結果が得られたこともあり、心内膜側にLPが存在する可能性が高いとされる虚血性心筋症についての解析を主体に研究の解析を進めた。2018年3月以前の2症例も含めた7症例においてLPの局在と99mTcMIBIシンチグラフィの取り込み低下領域を比較すると、取り込み率のcut off値をROC曲線を用いた解析にて35%とすることでLP局在領域を有意に予測可能となった(AUC0.89、感度81%、特異度87%)であった。また登録症例のうち4症例において術前施行したCTのgeometryに99mTcMIBIシンチグラフィの取り込み率cutoff35%を用いて反映させるとLPの局在と良好な分布を示した。一方問題点として拡大左室に対しカテーテルの到達範囲が不十分な箇所も症例によっては経験した。それらを検討するために登録症例のCTのジオメトリを用いた心筋モデルを作成し、実際の3次元マッピングシステムを用いてカテーテルの到達範囲の検討を行った。また非虚血性心筋症については心外膜側アプローチでのマッピングを行った症例について今後検討を継続する予定とする。
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