CT透視下のラジオ波焼灼療法(Radiofrequency ablation: RFA)は、肝細胞癌をはじめとする腫瘍性病変を熱で焼灼する治療法で、腫瘍の局所療法として確立された治療の1つである。しかしながら、焼灼終了のポイントは術者の経験によって決められることが多く、病変が完全に焼灼されていないことも少なくない。その場合、後日追加焼灼されることがあり、患者の負担、合併症の増加、医療費の問題等があった。 今回申請者はこの臨床的な問題点を改善すべく、腫瘍の焼灼時に焼灼部周囲の組織の温度上昇に伴いCT値が変化することに着目した。本研究の目的は、CTを使用して、RFA実施中の肝腫瘍および周囲組織の三次元的温度分布を計測し画像化する新たな手法を開発し臨床応用を行うことである。計画当初、1年目の平成30年度は、臨床応用への基礎的検討として、ウサギの肝臓でRFAによる焼灼を行いCT値の変化と温度の関係を検討し、温度計測の精度の検証、肝組織の凝固壊死を可能とする CT値を探索する予定であった。しかしながらウサギ肝が非常に小さく、RFAの焼灼が困難であることやRFA施行後のCT値測定には適していない事などの問題点が生じ、ウサギによる実験からブタの肝臓を対象とした実験に計画を変更した。 しかしながら、計画変更後の2年目は豚コレラの影響によりブタによる実験が困難となった。さらに3年目の本年はCOVID-19の影響で予定していた他県の施設での実験も困難となり、研究の遂行を断念した。
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