研究課題/領域番号 |
18K15552
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小島 宰 九州大学, 大学病院, 診療放射線技師 (60749034)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超高精細CT / 冠動脈CT / 心拍数 / 微小血管 / 画像ノイズ |
研究実績の概要 |
本研究は、超高精細CTによる梗塞心筋の微小血管側副路の描出を目的としている。本研究は、超高精細CTの高い空間分解能を維持できる上限心拍数をまず解明し、その結果を利用して超高精細CTを用いた微小血管側副路の描出を目指す。 ファントム実験において、超高精細CTが冠動脈を正確に画像化可能な上限心拍数は60 bpmである事、さらに超高精細CTは従来CTよりも拍動等の動きの影響を受けやすい事を新たに解明した。また、血管の縁の鮮明度(ERS:Edge rise slope)を解析した結果、測定心拍数全てにおいて超高精細CTが有意に従来CTよりも優れていた。この事から超高精細CTは従来CTよりも動きによる画像の反影(ボケ)を鮮明に画像化していることが明らかになった。これらの結果に関して現在論文作成中である。 また超高精細CTで撮影した冠動脈CT画像を解析した結果、従来CTに比べ超高精細CTがより末梢血管まで描出可能である傾向を我々は解明したが、超高精細CTの欠点である拍動の影響を受けやすい事や画像ノイズの増加によって梗塞心筋の微小血管側副路のような微小血管の描出に現在は至っていない。撮影管電圧や画像再構成方法等の別視点から画像ノイズの課題に取り組り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は, 新たなCT装置導入による超高精細CTの移設やそれに伴う故障が頻発した点や, 超高精細CTによる冠動脈CTで適切な画質を担保可能な条件に適した患者が少なかったことから予期していたよりも臨床画像の蓄積が進まなかった.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き臨床画像の蓄積を進めながら、微小血管の描出能低減の最大要因である画像ノイズの低減に新たに取り組む。 具体的には、高管電圧による撮影や、深層学習を用いた新たな画像再構成を適用し、画像ノイズの低減かつ空間分解能に優れた冠動脈CTの画質の最適化に取り組む予定である。 画像ノイズが低減し空間分解能が優れた冠動脈CT画像を実現し、超高精細CTによる梗塞心筋の微小血管側副路の描出に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、参加を考えていた学会の開催がweb開催や延期または中止となった事から、差額が生じた.差額は来年度の論文投稿時の英文校正費用にあてる予定である.
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