「肺癌を発生した肺線維症のCT画像」と「長期経過観察をしても肺癌が発生しなかった肺線維症のCT画像」をConvolutional Neural Network(CNN)を用いた人工知能(AI)に学習させる.さらに実臨床症例で識別をAIに行わせ、その判定結果およびAIの識別過程の解析結果より肺癌発生のリスクとなり得る肺線維症の画像所見を検出することを目的に,工学系研究協力者との共同研究を行った. 間質性肺炎診断後の経過観察中に肺癌が発生した症例において,肺癌発生が確認された時点のCT画像を起点に,その1年前,2年前,3年前…(X年前)の画像の同じ場所を放射線科医が特定し,“将来的に肺癌が発生する領域(高リスク領域)”としてラベリングを行った画像を用意した.このラベリング情報と共に, DICOM画像(経過の画像も全て)を匿名化した状態で抜き出し,工学系研究者に提供した.間質性肺炎診断時の初回画像があるが,長期経過を追跡できなかった症例,長期経過観察をした上で肺癌が発生しなかった症例もラベルと共に用意した. 用意した画像を64×64mtxのパッチ画像に加工,ResNet18をSimSiamのEncoderの部分にを利用したモデルを構築し,潜在空間上に類似特徴量を有する画像が配置されるように設定した.経過で肺癌が発生した領域とその同一部位の過去画像(陽性画像),発癌しなかった領域の経過の画像(陰性画像)を検索画像として,類似画像検索から,発癌高リスク領域の検出は可能であることがわかった.
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