研究課題
核医学治療では、投与量に応じた組織吸収線量の推定による治療計画や治療効果判定や副作用の予測が重要である。特にα線放出核種による核医学治療はα線の飛程が短いため、組織内の局在性を反映した分布を正確に測定する必要があり、イメージングが重要である。211Atから放出されるα線は直接可視化できないため、放射性ヨウ素(123I)をサロゲートとして動物用イメージング装置を用いて担癌モデルにおける211At標識化合物の体内動態を正確に評価する方法を確立した。PETやSPECTなどの分子イメージングは高精度な定量法であるため、123Iはガンマカメラで画像を解析して簡便かつ汎用性の高い放射性ヨウ素による211Atの体内動態評価を行った。さらに、その画像から得られた組織や細胞の集積率及び体内動態を参照したモンテカルロシミュレーションによる吸収線量予測を行うことで、211At標識化合物を投与する前に治療効果や副作用を推定する根拠となる組織吸収線量評価法を開発した。本年度は、動物実験による211At標識化合物の正常組織の集積(%ID/g)を放射性ヨウ素標識化合物と比較し、そこから得られた標識化合物の滞留時間を測定し、各臓器に対する組織吸収線量を求めた。さらに動物の生体内分布からヒトへの生体内分布へと外挿しヒト吸収線量の予測を行った。また、放射性ヨウ素標識化合物の体内分布をSPECT/CTで画像化しそれらをもとに画像から標識化合物の生体内分布を測定し、滞留時間を計算することで、解剖による直接測定と比較し定量性を検証した。SPECT/CT画像から得られた情報をもとにモンテカルロシミュレーションにより放射線挙動を計算することで、組織吸収線量の見積もりを行うための検討を行った。これらの結果は、学会発表を行うとともに論文化を進めている。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
EJNMMI Physics
巻: 7 ページ: 58
10.1186/s40658-020-00326-7