研究課題
高精度放射線治療の1つである強度変調放射線治療(IMRT)では治療前に実測による検証が必要である。しかしながら、3次元線量分布の実測は難しく、治療範囲全体を通した検証をすることはいまだ困難である。また、IMRTは複雑な機器動作を伴うため、線量分布の測定と共に治療機器の動作も捉えられれば、詳細な検証を行うことができ、より安全で正確な放射線治療の提供に繋がる。申請者は新たにプラスチックシンチレータ(PS)から得られるシンチレーション光を外部からCCD(Charge-Coupled Device)カメラを用いて取得することで、3次元線量分布並びに機器動作を同時に測定できる検出器を提案した。R1年度では照射位置を検出できる測定器を新たに制作した。H30年度に制作済みである円柱状PSに付加し、測定器全体としての評価を行った。照射位置を1mm以内の精度で検出することができ、照射位置から3次元線量分布を再構成することが可能であった。IMRTの治療計画を用いた検討においても、照射範囲全体において十分な精度で線量分布を評価できた。さらに、フレーム毎に記録されたシンチレーション光の時間変化から寝台の移動量やマルチリーフコリメータ(MLC)等の機器動作を求めることができ、特に複雑な動作を行うMLCにおいては97%以上の感度・特異度で測定可能であった。研究期間全体を通じた研究成果から、考案した検出器は十分な精度で3次元線量分布並びに治療機器の動作を測定できることが判明した。
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