研究課題
(1) 昨年度に投稿した論文がMagnetic Resonance Imaging誌に掲載された。症例数が蓄積されたことから、良性の脳腫瘍と悪性の脳腫瘍とでOGSE法を用いた拡散強調像の見え方の差異を観察することが出来た。今回は研究の性質上、手術や生検等による病理所見から良悪性の診断がついた腫瘍を後方視的に比較した。今後は腫瘍を取り出す前に、あらかじめOGSE法を用いれば良悪性の判断の一助になりうることから、OGSE法は手術や生検等の患者への侵襲を減らすことが期待される。また、乳房の腫瘍でOGSE法を用いた良悪性の鑑別を行う研究も報告されており、脳腫瘍に限らず他臓器の腫瘍でもOGSE法を拡張すれば、新たな知見が得られる可能性がある。(2) 初年度より頭蓋内の類上皮腫の拡散制限を、2次元や3次元のシミュレーションを用いて再現してきた。類上皮腫の多層構造や粘稠度、細胞膜内外での水分子の交換を考慮し、実際の類上皮腫における制限拡散の機序を明らかにした。Magnetic Resonance in Medical Sciences誌に掲載された類上皮腫の観察研究、Japanese Journal of Radiology誌に掲載された粘稠度の違いに着目した基礎的検討の結果、Magnetic Resonance Imaging誌に掲載された頭蓋内の脈絡叢嚢胞の観察の結果を踏まえ、現在論文を執筆中である。
1: 当初の計画以上に進展している
最終年度までに計画していた研究内容を一通り押さえることが出来たため。
2021年が最終年度であるため、初年度より学会発表した内容を再度俯瞰し、論文雑誌に投稿していきたい。
コロナ禍であり、発表を予定していた国際学会がweb開催となったため。次年度には更に論文執筆を行い、英文校正費として使用したい。
すべて 2020 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 備考 (2件)
Magnetic Resonance Imaging
巻: 72 ページ: 34-41
10.1016/j.mri.2020.06.018
https://researchmap.jp/saori.koshino/
https://www.researchgate.net/profile/Saori_Koshino