研究実績の概要 |
本研究の目的は高解像度3テスラMRIと光干渉断層画像装置であるOFDIを用いて喫煙の頚動脈プラーク性状及びプラーク内新生血管増生への影響を明らかにすることである。頚動脈ステント留置術例を対象にMRIプラークイメージングを行ったのちにOFDIによるプラーク内新生血管評価を行った。昨年と同様に臨床データとして、喫煙状況、患者の年齢、性別、基礎疾患、既往、各種採血データ、内服内容、MRI・OFDIによるプラークイメージングによるプラーク構成成分の定量評価、新規脳虚血イベントの有無、狭窄度進行の有無等を収集し、データベース化を行い、狭窄進行例と非進行例についてOFDIにおける新生血管イメージング結果との関連性を検討した。また、プラーク内新生血管の数とMRIプラークイメージングによるプラーク内出血体積との関連性を解析した。プラーク内新生血管数は狭窄進行群が非狭窄進行群と比較し有意に多かった(10.2±4.8 vs. 3.7±2.8, p<0. 0001)。また新生血管増殖に関連すると考えられる喫煙習慣と狭窄進行に着目したところ喫煙習慣は狭窄進行例で有意に多く存在した(81% vs. 30%, p=0.003)。多変量解析結果では、頚動脈プラーク内新生血管の数が狭窄度進行の独立予測因子であった(オッズ比 1.64; 95% CI 1.19- 2.64; p=0.0005)。一方で新生血管数とプラーク体積、プラーク内出血体積との関係を解析したところ傾向は存在したが有意な相関関係は認められなかった(プラーク体積: Spearman correlation coeffient -0.286, p=0.197. プラーク内出血体積: Spearman correlation coeffient 0.324, p=0.141)。
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