研究課題/領域番号 |
18K15569
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
中野 正寛 北里大学, 医学部放射線腫瘍学, 助教 (50780384)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子宮頸がん / Radiomics / 適応放射線治療 / 治療効果予測 / 医学物理学 / 画像特徴量 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
局所進行子宮頸がんの標準治療は同時化学放射線療法であり、患者の状態によっては放射線治療単独も選択されるが、いずれの場合でも放射線治療が果たす役割は非常に大きい。放射線治療はリニアック装置を用いた外部照射が先行し、その後に遠隔後充填システム(RALS)を用いた腔内照射が行われる。この治療期間にprimary CTVである子宮頸部および体部の体積に大幅な縮小が見られる場合が多いが、一方で体積の縮小が見られない症例も一定程度存在する。この子宮体積の縮小/非縮小が、子宮の変形とともにIMRTなどの高精度放射線治療の適応を難しくする要因の一つとなっており、IMRT治療の適用をためらう要因となっている。日本国内では現在もIMRTではなく三次元原体照射法が広く用いられている状況であり、 膀胱や小腸などCTVに隣接する正常臓器に対しても不必要な高線量が照射されているのが現状である。 本研究は子宮頸がん患者の個々の状況にあわせた個別化医療としての放射線治療の提供を目指して、子宮の縮小/非縮小を事前に予測する適応放射線治療支援システムの構築を目指している。 令和2年度は以下のことを実施した。 (1)過去症例50例について、放射線治療前のCT画像と放射線治療開始1ヶ月後のCT画像を収集、また患者の年齢やSCC、CEA等の腫瘍マーカー値を含む臨床データの収集を行なった。 (2)治療前と治療開始後1ヶ月後のCT画像からprimary CTVの体積を抽出し、体積縮小率を得た。 (3)放射線治療開始前のCT画像からラディオミクス特徴量を抽出し、primary CTVである子宮全体が放射線治療中に縮小する群と縮小しない群の分類を予測するモデルを構築した。 (4)途中経過について国際学会にて報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ロジスティック回帰モデルを用いた体積縮小・非縮小の予測モデルの構築を行い、予測精度についてある程度の目処がついた。他の機械学習手法を用いたモデル構築を行い予測精度の向上に取り組む予定であったが、施設の停電による機器の故障、また研究者自身の所属の異動などによって予定通りの進捗を実現できず、研究助成の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点ではロジスティック回帰モデルを用いて予測モデルの構築を行なっている。近年の先行研究にてアンサンブル学習による高い予測精度の実現が報告されており、本研究でもアンサンブル学習を使用した予測モデルを構築し予測精度の向上を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属施設が立地している地域の急な停電により使用していた機器が故障し進捗が滞ったこと、研究代表者の所属が異動となり円滑に研究を再開できなかったこと、コロナウィルスにより学会の中止やバーチャル開催となり海外渡航費を使用しなかったことなどから次年度使用額が生じた。今後、バーチャル開催に円滑に参加できるようPC環境を整備すること、また研究を急ぐためにソフトウェア開発環境を改善することに使用する予定である。
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