研究課題
局所進行子宮頸がんの標準治療は同時化学放射線療法であり、患者の状態によっては放射線治療単独も選択されるが、いずれの場合も局所進行子宮頸がんの治療において放射線治療が果たす役割は大きい。その放射線治療は、リニアック装置を用いた外部照射が先行し、その後に遠隔後充填システム(RALS)を用いた腔内照射が3回から4回行われる。治療期間中にprimary CTVである子宮頸部および体部の体積に大幅な縮小が見られる場合が多いが、一方で体積の縮小が見られない症例もある程度存在する。この子宮体積の縮小/非縮小が、子宮の変形とともにIMRTなどの高精度放射線治療の適応を難しくする要因の一つとなっており、IMRT治療の適用をためらう要因となっている。本研究は子宮頸がん患者の個々の状況にあわせた個別化医療としての放射線治療の提供を目指して、子宮の縮小/非縮小をラディオミクス特徴量を用いて事前に予測する適応放射線治療支援システムの構築を目指している。 令和3年度は以下のことを実施した。(1)種々の機械学習モデルを用いてモデル構築を試みた。(2)機械学習モデル構築の際の正則化項の違いによる予測精度の変化について調査中である。(3)線量分布の特徴量を併用することによる予測精度の向上について準備中である。
3: やや遅れている
ロジスティック回帰モデルを用いた体積縮小・非縮小の予測モデルの構築と精度の評価についてはすでにある程度の目処が得られている。他の機械学習手法を用いたモデル構築と、線量分布特徴量を併用することによる予測精度の向上に取り組んでいるが、施設の停電による機器の故障、また研究者の所属機関のコロナ規制などにより予定通りの進捗や予算執行を実現できず、研究助成の延長を申請した。
子宮頸がんの放射線治療における子宮の体積縮小に関する機械学習モデルの構築において、正則化項の有無、もしくはL1正則化、L2正則化などの正則化項の違いによる予測精度の変化を調査し、精度向上を目指す。ロジスティック回帰以外の機械学習モデルによってその予測精度が向上するか検討中である。ラディオミクス特徴量に加えて線量分布特徴量を併用することで予測精度の向上を試みている。本研究の手法が子宮頸がん以外の腫瘍にも適用しうるか検討中である。
研究者が所属する研究機関のコロナ規制により学会参加に制限が課せられたため。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件)
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