研究課題/領域番号 |
18K15571
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
三浦 太一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線障害治療研究部, 研究員(任常) (30803209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | FGF1 / シグナル / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
がん治療において放射線治療は主要な治療法の一つである。しかし、放射線の照射はがん細胞に対して悪性化を抑制する効果を発揮する一方で、放射線障害を引き起こす。特に、腹腔内腫瘍に対する放射線がん治療は、放射線感受性の高い腸管上皮組織が周囲に存在することから、放射線障害が起きやすいことが知られている。そのため、正常細胞を放射線障害から防護する医薬品の開発と研究が進められている。これらを放射線がん治療に応用するためには、「正常細胞のみに選択性を有する防護・治療薬」でなければならない。我々の開発した改変型FGF1は、腸管上皮細胞などの正常細胞を防護し、再生を促すが、一部の癌細胞の浸潤・転移を抑制し、さらに放射線感受性を高めることが分かっている。本研究では、なぜFGF1が正常組織と癌細胞において一見相反する作用を示すのか、その作用機序の解明を目指す。解析には、改変型FGF1をFGFの強力なアゴニストとして用い、野生型FGF1と比較検討した。前年度では、正常細胞において改変型FGF1が活性化するシグナル経路を検討した。今年度は一部の癌細胞における改変型FGF1が与える影響を検討し、正常細胞との比較を行った。その結果、改変型FGF1は癌細胞の形態異常を引き起こすが、正常細胞ではその様な現象は認められなかった。また、癌細胞の形態異常は改変型FGF1では認められるが、野生型FGF1では認められなかったことから、FGF1シグナルが強力に活性化することにより引き起こされることが分かった。この結果から、改変型FGF1の正常細胞と癌細胞とで及ぼす効果が異なるのは、改変型FGF1による癌細胞の形態異常が一つの原因であることが示唆された。今後、FGF1による形態異常が癌細胞種に依存するのか、またFGF1による癌細胞の形態異常の作用機序について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
うまくいかない場合も想定の範囲内であったため、ほぼ計画通りに実施できた
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の解析を行う。 1. 癌細胞における細胞形態異常のメカニズムを、特に細胞骨格系に着目して検討する。 2. 細胞形態異常がFGF1シグナルのどの下流経路に起因するのか同定する。(改変型FGF1による形態異常を救済する阻害剤を同定する。) 3. 改変型FGF1による形態異常が癌細胞種に依存するのか検討する。 4. 放射線障害モデルマウスを用いて、改変型FGF1が正常組織を防護する細胞内シグナル経路を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた高額な抗体・阻害剤・マウスの購入を、次年度に繰り越したため、次年度使用額が生じた。
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