本研究は、CT/MRIテクスチャ解析を用いて頭頸部癌の質的診断や治療効果予測に有効な精度の高い特徴を探索し、診断法の確立と臨床応用に向けたモデル構築を目指した。頭頸部癌治療前データベースから、画像データの質(機器や撮像法など)が均一な複数の症例グループ患者群の検索を行い、1) 頸部リンパ節郭清術が施行された頭頸部癌、2) Dual-energy CTにて評価され組織診断が得られた甲状腺腫瘍、3)局所進行性舌癌の手術症例、など複数のグループを抽出した。解析には主にMATLABおよびRadCloud platformの機械学習を用いた。研究成果は以下のとおりである; 1) 頭頸部癌リンパ節転移のCT診断に有効なテクスチャ特徴の傾向を探索し、特にHIVに関連したFDG-PET偽陽性との鑑別に有用であることを報告した。2) Dual-energy CTのデータを用いた甲状腺腫瘍では、仮想単色X線画像データを用いて良悪性鑑別に有効なテクスチャ特徴の探索を行い、従来行われてきたヨード量測定などの定量的測定法に比べ有用である可能性を報告した。3) 局所進行性舌癌の手術症例では術前造影CT/MRI複数画像を用いてRadiomics解析を行い、Lasso(正則化項)を用いて有効特徴を抽出、SVMなど6種類の機械学習でモデル構築し、術後再発や生命予後予測には造影CTに比べ造影MRIがradiomicsに有望な画像データであることを報告した(KNN model validation: AUC=0.83)。症例数を増やた検証試験では臨床応用可能なモデルの構築には至らなかった。テクスチャ解析は、頭頸部癌の質的診断や治療効果予測に対して非侵襲的な追加情報として有効である可能性が示唆されたが、日常臨床に応用可能なモデル構築には画像データ均一化や解析手法の再現性などが課題として考えられた。
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