研究課題
薬剤による発作コントロール不良のてんかん症例においては手術的治療が選択されるが、種々の検査を用いても切除すべき脳内のてんかん焦点部位の同定は難しく、MRI画像によるてんかんの発作焦点部位の検出能向上が望まれている。本研究ではQSM、ミエリンマップ法、UTE法など近年開発された新しいMRI撮影法を用いて発作焦点検出能の向上を目指し、術前MRI画像断面と同じ病理標本断面の作成を行うことで、MRI画像の信号変化と病理学的変化との関連性を詳細に検討することを目的としており、現在も症例集積中である。その中で、近年てんかん原性領域同定に有用性が報告されたMRIとFDG-PETの融合画像において小脳虫部の代謝の評価を行うことで、てんかんの発作焦点部位の検出性を向上できることが明らかとなってきた。発作焦点部位はFDG-PETで代謝低下を示すとされるが、てんかん原性領域のてんかん性異常過活動が強ければ逆に代謝は亢進し、発作焦点部位の誤診につながることがある。発作焦点部位のてんかん性異常過活動があるときにはFDG-PET/MRI融合画像で同定される小脳虫部の代謝が高い傾向にあることがわかった。これは世界で初めての知見で、てんかん発作焦点部位の検出性向上に大きく寄与する発見である。
2: おおむね順調に進展している
現在も症例を計画通り集積中である。また、てんかん焦点におけるてんかん性異常過活動と小脳虫部の代謝亢進の関連についての研究結果は日本てんかん学会とアメリカてんかん学会において学術発表を行い、現在学術論文を投稿中である。
引き続き症例の集積と解析をすすめる。また、てんかん焦点におけるてんかん性異常過活動と小脳虫部の代謝亢進の関連についての研究結果について論文の採択を目指す。
データ集積が中心であったため、当初の計画より少ない予算執行となり、次年度使用額が生じた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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