研究課題/領域番号 |
18K15575
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
立石 恵実 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (20795596)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドPETイメージング / 高齢者心不全 / 心脳連関 |
研究実績の概要 |
近年、加齢とともに増加する認知機能障害と高齢者心不全(左室拡張機能障害)の要因に、組織へのアミロイドβの蓄積という同じ病態の関与が疑われている。本研究は脳と心臓へのアミロイドβの蓄積をアミロイドPETイメージングで非侵襲的に評価することを目的としている。認知機能障害と左室肥大(または左室拡張機能障害)を指摘された65歳以上の高齢者を対象に、2016年に臨床使用が許可されたアミロイドPET製剤(F-18 Florbetapir)を用いて全身のアミロイドPETイメージングを撮像し、各臓器へのF-18 Florbetapirの集積を定性および定量評価することで、アミロイドβの蓄積の有無を検証する。 2018年度~2019年度の2年間で8名の患者に全身アミロイドPETイメージングを行った。F-18 Florbetapirを投与すると同時に心臓のダイナミックスキャンを行い、F-18 Florbetapir投与50分後に脳、70分後に心臓、75分後に全身の撮像を行った。各臓器へのF-18 Florbetapirの集積を定性および定量評価した結果、8名中4名の大脳皮質にF-18 Florbetapirの集積(アミロイド蛋白の蓄積)を認め、8名中3名の心筋にF-18 Florbetapirの集積を認めた。大脳皮質と心筋の両方にF-18 Florbetapirの集積が見られた患者は1名であった。2021年度は「高齢化社会におけるアミロイドPETイメージングの役割と可能性」という題で、心筋にF-18 Florbetapirの集積を認めた3名の結果を収載誌で発表した(「循環器病研究の進歩 第42巻第1号」大津欣也監修、協和企画)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年12月以降、世界的に感染が拡大したCOVID-19に対する緊急事態宣言が繰り返し発令され、不要不急の外出が制限されたため、患者のリクルートが困難であった。特に本研究はCOVID-19に感染した場合に重篤化しやすい高齢者を対象としているため、患者の同意を得難い状況が続き目標症例数9名に到達できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2019年から繰り返し発令されていた緊急事態宣言は解除され、昨年度末にはまん延防止等重点措置が終了した。高齢者へのワクチン接種も普及しつつあるため、ワクチンの3回目接種が完了した患者を対象に、残りの研究費で撮像可能な件数(1名分)のアミロイドPETイメージングを撮像する。また2018年度~2019年度にアミロイドPETイメージングを撮像した8名の患者の予後を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19に対する緊急事態宣言が繰り返し発令され、その後もまん延防止等重点措置が続いたたため、研究目的での検査へのリクルートが困難な状況が続いた。特に本研究の対象者である高齢者はCOVID-19に感染した際に重篤化する可能性が高かったため、研究への参加同意を得ることができず、当初予定していたアミロイドPETイメージングの撮像ができなかった。よって、今年度請求した助成金を翌年度に繰り越し、今年度撮像できなかった1名分のアミロイドPETイメージングの撮像を翌年度に行う。
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