高線量の放射線に曝露された個体では,重度の消化管障害により敗血症が誘発され死に至る.敗血症の原因ともなる消化管細菌は『腸内フローラ』と呼ばれ,生活習慣病や循環器疾患等と強い関連を持つことも知られているが,放射線曝露に伴う腸管機能と腸内細菌との関係は不明点が多い.この問題解明を目的に,本研究では放射線曝露後の腸内細菌の変化解析と共に腸管障害治療における腸内細菌の有用性を検討してきた.その結果,致死線量曝露個体では,乳酸菌群の大量流出が起こっていることが明らかとなった.また直腸便による移植実験では現段階において延命・救命効果は確認されていないことから,今後は培養細菌等を用いた移植を実施していく.
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