研究課題/領域番号 |
18K15580
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
舘脇 康子 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (40722202)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 緑内障 / アルツハイマー病 / MRI / アミロイドβ |
研究実績の概要 |
今年度は、前臨床段階から後期の正常眼圧緑内障患者約50人と、健常被験者20人のMRI、眼科検査、血液検体のデータベースの構築を行い、順次更新している段階である。 MRI画像については、アミロイドβを描出する新規MRIシークエンスであるPADRE(Phase Difference Enhanced Imaging)の至適再構成条件の検討を行った。再構成条件はこれまでのアミロイドβをターゲットとした閾値設定に加え、加齢鉄をターゲットとした閾値設定による再構成画像を作成した。アルツハイマー病などの認知症では脳内の鉄動態の異常が報告されており、加齢鉄PADRE画像を検討することで緑内障における脳内の鉄分布の評価が可能となる。 さらに、PADRE画像解析の前処理として、視認的評価や定量評価の際に大きな妨げとなる血管構造除去アルゴリズムの開発を行った。SPMでの皮質領域の抽出に加え、matlabによるテクスチャ解析アルゴリズムを用いた血管構造の認識法を各種試みた。現在、プログラム調整の最終段階にきており、完成すると視覚的評価や定量解析の信頼性が飛躍的に向上する見込みである。 申請者らは昨年、東北大のサンプルデータを用いて、PADREにより得られる脳局所における位相情報と認知機能の尺度であるMMSEスコアとに強い相関があることを報告した。今年度はさらに解析の客観性と汎用性を高めるために、脳形態の個人差を取り除いた脳の領域毎に統一された関心領域(ROI)を自動設定する技術の開発を行った。本検討により取得されたROI内の数値とMMSEとの相関は手動でのROI設定に遜色のない結果が得られており、PADRE解析の汎用化の実現に向けて有意義な結果を得た。本検討結果は2020年開催の国際学会(ECR)に2演題採択されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者のデータベース作成はおおむね順調に進んだものの、アミロイドβを描出するPADRE画像の再構成閾値の最適化と解析前処理に時間がかかっており、当初の予定より進捗が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は認知心理検査を含めたデータベース構築を完遂させる。また、現在進行中のPADREの血管除去システム開発を完成させ、そこに開発済みの自動ROI設定システムを適用することで、PADRE画像の効率的な定量解析が可能となる見込みである。PADRE以外のMRI画像については解析法やシステム構築は終了しているため、データベースとPADRE画像解析システムの完成後には直ちに統計解析に移行できる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予定していた認知心理検査を中心としたデータ取得を行うことができなかったため、これにかかわる謝金などが次年度に繰り越しになった。
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