研究実績の概要 |
今年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて緑内障データベースの追加更新を行うことができなかった。 一方で、手元のデータでアミロイドβをターゲットとする新規MRIシークエンスであるPADRE(Phase Difference Enhanced Imaging)の視覚化画像の開発を進めた。アミロイドβPADRE画像の脳実質内部でのコントラストの悪さは、着目する領域である大脳皮質の近傍を走行している無数の微細な血管構造が著明な低信号に描出されていることが一因である。また、アミロイドβPADRE画像では皮質内に斑状の低信号構造が観察されるが、この斑状構造、そのバックグラウンドとなる皮質自体の信号値とのどちらがアミロイドβ沈着を反映しているのかは明らかではなかった。そこで、定量評価の妨げとなる血管構造の除去と、皮質の斑状構造とびまん性成分の分離等を、テクスチャー解析処理を用いて行い、アミロイドβの脳内沈着の有無を視覚的に評価できる画像を作成した。アミロイドβPADRE画像から血管除去と皮質のびまん性成分の抽出を行った画像を、脳表投影し、PiB-PETを有する11例において、放射線科医、脳外科医、内科医の3検査者で盲検での読影実験を行ったところ、高精度でアミロイドβ沈着の予測を行うことができることがわかった(図2; 感度67%, 特異度100%, 正診率82%)。 上記の画像処理技術に関連して2021年2月に特許出願を行い、2021年4月の日本医学放射線学会総会での口頭発表を予定している。
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