研究課題
近年、アルツハイマー病(AD)でのglymphatic systemと呼ばれる脳脊髄液中へのアミロイドβ(Aβ)などの脳内有害物質の除去システム障害が注目されている。緑内障とADの共通病態が明らかにされつつあるものの、未だ緑内障患者のglymphatic system障害や脳内Aβ蓄積について検討した報告はない。本研究は緑内障患者におけるADとの共通病態を画像のアプローチから明らかにすることを目的として行った。本研究では、アミロイドβを可視化する新規MRIシークエンスであるPADREの視認性、定量性向上のための「モルフォロジー解析プログラム」を開発し、国内特許出願とPCT出願を果たした。本プログラムにより、PADRE画像の視認性の向上が実現し、アミロイドMRIとして実用化の足掛かりを得た。現在、同プログラムを用いて約280例の緑内障コホートデータの解析を行っており、近日中に緑内障患者におけるアミロイドβ沈着についての結果が判明する。また、緑内障コホートのMRI画像をFreesurferで解析処理を行い、以下の検討を行った。緑内障がADと共通病態を有するのであれば認知機能を反映する脳構造に違いがあるとの仮説を立て、緑内障群と健常群とで海馬体積の違いを検討した。結果、緑内障群と健常群間では海馬体積に有意差は検出されなかったが、近視の指標である等価球面度数と海馬体積の間に関連があることがわかった。さらに、glymphatic system障害を反映した画像パラメータ候補のひとつである血管周囲腔の体積を緑内障群と健常群とで比較したが、有意差は得られなかった。ただし、同パラメータの数値は再現性および信頼性が担保されておらず、今後、独自に正確な血管周囲腔体積を自動測定するプログラムを開発し、再検討を行う予定である。
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