本研究では3次元の線量分布を測定する試みであったが、途中より2次元の線量分布測定に方針を変更した。初年度に3次元の線量分布測定を試みたものの、研究利用では可能であったものの、実用化はまだ困難と判断。シンチレーション光の測定は容易であったものの、シンチレーター自信の透過度の問題、得られた測光データからの再構成の正確さ、再構成にかかる時間が問題であった。研究としては達成できそうなものの、最低限現場での実用性を達成したかったため、3次元線量分布取得よりも2次元で実用的なものを達成させようと方針を転換した。 2次元に変更したあとは、実用的段階まで順調に進み、初年度の2018後半には現場で利用可能な品質の線量分布測定器が完成した。特性データーや取り込みプログラムの改善を行い幾度の実験を行っている途中、放射線損傷による樹脂の黄変による問題が顕在化してきた。繰り返し高線量が照射された部分が透明樹脂部分が黄変し、本来発生する光量が減少してしまい正確な線量分布測定を妨げる要因になってしまった。 そこで樹脂の黄変化影響を避けるため、様々な回避方法を試行した結果、赤色シンチレーターを使用するという着想に至った。商用で販売されている赤色シンチレーターは1社しか無く、試したところシンチレーター発光の光拡散が確認された。よって赤色シンチレーターを自作することにした。本研究に仕様に沿うように配合を調整し光拡散が低い赤色シンチレーターの作成に成功した。自作の赤色シンチレーターを使い再度特性評価や実用性能を高めていき、フィルム並みの高解像度でありながら、実用に十分な高い測定精度と信頼度を併せ持つ線量分布測定器を完成させるに至った。得られた特性評価結果については論文で公開する。 最終年度後半はシンチレーター発光材料の計測を行い特性データを取得及び評価を行った。
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