研究実績の概要 |
本研究の目的は、画像誘導放射線治療(IGRT)の被曝線量予測システムを開発し、患者位置合わせの精度を保持しつつ、患者被曝線量を合理的に低減することである。さらに、放射線治療分野における被曝線量管理体制の基盤確立を目指す。 平成30年度は、2つのIGRTシステムに対して研究を進めた。 (1)SyncTraX FX4システム(STX):基礎評価として、STXにおける位置合わせの精度と被曝線量を頭部ファントムを用いて評価した。位置合わせ精度については、全てのX線管-FPDの組み合わせにおいて、リニアックMV中心とSTX画像中心のオフセットが中央値にて0.31 mm(範囲:0.14-0.57 mm)であることを示した。被曝線量については、空気カーマの評価にて平均0.11 mGy(撮像条件:80 kV、200 mA、50 msec)と低値であることを確認した。これらの成果の一部はJ Appl Clin Med Phys (JACMP)に掲載された(Tanabe et al., JACMP, 2018;19:6:149-158)。左記の結果を踏まえ、頭部領域において1 mm以内の位置精度を保持する撮像条件において、100 kV, 1 mAsの条件が最も被曝線量が少ない(0.033 mGy)ことを明らかにした(第46回JSRTにて報告)。 (2)ExacTrac X-rayシステム:患者の被曝線量低減にはFiducialマーカー(FM)を用いた位置合わせが有効である。本研究では「FMによる3軸位置合わせ」に着目し、CBCTによる3軸位置合わせとの精度比較を行った。結果として、両位置合わせの相違は平均値にて1 mm以内であり、同等の精度を有していることを明らかにした。これらの成果の一部はJACMPに掲載された(Tanabe et al., JACMP, 2019)。
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