研究課題
組織中の水組織のブラウン運動による分子変位の程度を画像化する技術を用いた拡散強調MRIから得られる新たな定量値の開発を進めた。拡散強調MRI画像は、造影剤を使用しないため副作用のリスクがない、安全な検査法である。xenograft担癌マウスを作製し、拡散時間等の撮影条件を変更することにより腫瘍内の拡散強調MRI定量値にどのような変動があるのか検討を進めた。臨床例においては乳腺腫瘍を中心に異なる拡散時間を用いて拡散強調MRIを撮影し、良悪性や腫瘍のサブタイプ等の鑑別に有用なバイオマーカーとなるかどうか検討を進めた。臨床MRI装置においても近年様々な拡散時間を用いた撮影が可能となっており、腫瘍などの組織における新たなコントラストを生み出す可能性がある技術として注目されている。拡散時間を変更することにより、乳腺腫瘍内の良悪性鑑別だけでなく、ホルモン受容体の発現有無等の鑑別にも有用である可能性が見出され、初期検討の結果をISMRM(国際磁気共鳴医学会)に発表した。症例をさらに蓄積し、解析法の工夫・検討を進めている。乳癌の病理学的情報、サブタイプと始めとする分子学的情報や遺伝子プロファイル等の複数の臨床情報についても同時に収集し、拡散強調MRI定量値と臨床情報を如何に関連づけられるかさらに検討を進めている。また、頭頸部腫瘍において拡散時間による定量値の変動評価が良悪性の鑑別に有用であることをまとめ、論文発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
xenograft担癌マウスの作製については当初の予定よりもやや遅れているが、一方、多数の臨床例を通じて乳腺腫瘍を中心に拡散強調MRIを撮影し、拡散時間等の様々な撮影パラメーターが拡散強調MRI定量値に影響を及ぼすことがわかり、おおむね順調に進展していると考えられる。
臨床例をさらに増やし、拡散強調MRI定量値を用いたイメージングバイオマーカーが乳癌の予後や転移、再発の予測因子として成立するか更なる検討を進める。
次年度に国際学会での発表を予定しており、繰越予算を充当する。臨床例を引き続き撮影し、さらなるデータ解析を行うための解析ソフトウェアや研究結果発表等にも使用する予定である。
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Journal of Magnetic Resonance Imaging
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https://doi.org/10.1002/jmri.26578
Impact
巻: 2018 ページ: 41~43
https://doi.org/10.21820/23987073.2018.12.41