研究課題
組織内の水分子の拡散運動を画像化する拡散強調MRIから得られる新たな定量値の開発を行った。拡散強調MRI画像は、造影剤を使用しないため副作用のリスクがない、安全な検査法である。また、近年様々な拡散時間を用いた撮影が可能となっており、腫瘍などの組織における新たなコントラストを生み出す可能性がある技術として注目されている。担癌マウスモデルを作製し、拡散時間等の撮影条件を変更させることにより腫瘍内の拡散強調MRI定量値にどのような影響があるのか検討した。乳腺腫瘍の臨床例を主体として異なる拡散時間を用いて拡散強調MRIを撮影し、拡散依存性の見かけの拡散係数(Apparent Diffusion Coefficient: ADC) が良悪性や腫瘍のサブタイプ等の鑑別に有用か検討を進めた。前臨床(担癌マウスモデル)、臨床例での腫瘍両方において、拡散時間の増加に伴い見かけのADC値の低下が認められた。臨床例では拡散時間依存性ADC値や拡散時間を変更して得られるADC値の変化率が乳腺腫瘍内の良悪性鑑別だけでなく、ホルモン受容体の発現有無やKi-67発現の有無の鑑別にも有用であることを見出した。上記の結果につき、日本磁気共鳴医学会、国際磁気共鳴医学会、日本医学放射線学会、日本乳癌学会に発表し、臨床例における結果をInvestigative Radiology誌に出版した。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Investigative Radiology
巻: Publish Ahead of Print ページ: 00-00
10.1097/rli.0000000000000766