研究課題/領域番号 |
18K15590
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上田 康之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50780805)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生体認証 / 個人識別 / バイオメトリクス / 画像マッチング / 医用画像 |
研究実績の概要 |
2018年度は、山口大学医学部附属病院で撮影された619名、各2回の胸部、腹部、骨盤部の位置決めX線CT画像を収集し、本研究で用いる臨床画像のデータベースを構築した。また、これらの画像は全て研究代表者が所属する大阪大学および臨床画像の提供元である山口大学医学部附属病院の倫理審査委員会によって本研究に用いることの承認を得た。また、以下の開発と基礎検討を行った。 (1) 位置決めX線CT画像の特徴量抽出・比較アルゴリズムの開発 位置決めX線CT画像を用いた画像マッチングアルゴリズムを構築し、画像データベースから100名のランダムサンプリングにて動作を確認した。まず、位置決めX線CT画像の幾何学変化をDICOMタグの情報を利用して自動補正した。次に、個人を識別する特徴量の抽出を行った。抽出した特徴量は、位置決めX線CT画像上に分布する人体の特徴点を抽出できており、特に肋骨、脊椎、骨盤骨などの骨格に多く分布する結果となった。本特徴点を中心とする関心領域をテンプレート・マッチング技術にて比較画像の類似点探索により対応点を求めた。対応点間の有効性を評価し、本人同士であれば有効点数が多いことを利用して、画像ペアが本人か別人かを判定した。 (2) 開発アルゴリズムの基礎検討 本人ペアおよび別人ペアにおける比較演算を行い、良好な結果を示した一方で、寝台上に仰臥位となる際の姿勢の変化を反映した本人ペアを別人ペアに誤判定してしまうエラーを確認した。エラーを抑制し、本アルゴリズムの認証精度を高めるために、特徴点の数と関心領域の大きさについて検討を行った。 本研究の成果について” 医用画像情報学会平成30年度春季大会(2019年1月、京都)”にて口述発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に用いる臨床画像データベースが構築できた。個人識別のためのアルゴリズムの開発も申請時の計画通りに進行し、ほぼ順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2019から2020年度にかけては、2018年度に構築した画像データベースを用いて、開発した位置決めX線CT画像のマッチングアルゴリズムの評価および改良を行う。特に、画像マッチングは多くの計算時間を要するため、アルゴリズムの最適化および高速化を行う必要がある。以上の結果をまとめ、研究成果を原著論文として国内外に向けて報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に英文校閲費用に充てるべく前倒しして使用したが、業者キャンペーン割引により未使用額が生じた。未使用額は2019年度の旅費に充てることとしたい。
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