研究課題/領域番号 |
18K15598
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
立元 将太 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (50771854)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 酸化的DNA損傷 / ドキソルビシン / 肝動脈化学塞栓術 / 内膜症 / 癌化 |
研究実績の概要 |
酸化ストレスによって生じる酸化的DNA損傷は、癌化や加齢の原因の一つとして考えられているが、簡易的かつ正確な測定方法はまだ確立されていない。本年度は、本学で新たに樹立された高精度の酸化的DNA損傷サイクロプリンに対する特異的モノクローナル抗体を用いて、培養細胞を用いた実験とヒト組織を用いた実験をそれぞれ行った。培養細胞を用いた実験では、ヒト細胞(Susa/T-n)にドキソルビシン(0.1μM, 0.5μM, 5μM)を投与し、2~7日間培養後DNAを抽出し、サイクロプリンの検出を試みた。濃度依存的、時間依存的なサイクロプリンの有意な増加は確認できなかった。今後、ウサギまたはマウスに対してドキソルビシンを使用した肝動脈化学塞栓術を行い、酸化的DNA損傷蓄積の評価を行っていきたい。ヒト組織を用いた実験では、本学の倫理委員会承認の下、内膜症患者の嚢胞内容液と内膜症由来と考えられる卵巣癌組織を入手後、内膜症性嚢胞の内容液によるサイクロプリンの誘発実験を行った。裸のDNAに内膜症性嚢胞内容液を作用させることで、サイクロプリンが有意に上昇し、反応性の高い活性酸素種の1つであるOHラジカルを発生させる活性があることが示唆された。また、サイクロプリンの誘発量は症例により様々であり、医用画像を用いた内膜症の進展度との間で有意な相関が確認された。今後、癌組織中のサイクロプリンの検出や局在評価を行っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サイクロプリン特異抗体を用いた肝動脈化学塞栓術における酸化的DNA損傷蓄積の評価ならびにヒト組織を用いての臨床応用化は順調に進んでいる。今年度は径カテーテル治療を行った動物の肝組織や癌組織中の酸化的DNA損傷蓄積の定量評価を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
研究は概ね予定通り進んでおり、今年度は研究計画書の通り、径カテーテル治療と酸化的DNA損傷との関連について、さらに研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた、動物、カテーテルの費用が不要であった。また国際学会参加費、旅費が不要であった。
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